「クレームヒアリング営業」でネットに差をつける――勝ち残るリアル営業(4)

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

「クレームは最高の営業先」と気づいた新入社員

   私は、ネット営業の限界を見た気がしました。なんとももったいない。ここでしっかりクレーム対応したなら、私はこのサイトのヘビーユーザーに化けたかもしれないのに。

   それができないのが、コスト優先のネット営業の限界なのでしょう。お問い合わせページが見つけにくいのも、人的コストのかかるクレーム対応は極力避けたいという意思の表れとしか思えません。

   一方、リアル営業のクレーム対応にはこんな話があります。高卒でコピー機販売代理店の営業職に就いたAさん。入社早々のまぐれ当たりもあって予想外に実績があがると、いきなり先輩からのイジメの世界が待っていました。

   新人の思わぬ活躍で上司からハッパをかけられた先輩営業マンたちは、「勉強になるから」という理由でクレーム対応をすべてAさんに押し付けたのです。

   精密機器類のクレームは軽重の差はあれど、その数は実に多く、彼はほとんどまともな営業活動ができない日々が続きます。周囲はシメシメと思ったでしょう。しかし彼は数か月後に、営業所でトップの成績をおさめることになるのです。

「クレーム先は最高の営業先であると、しばらくして気がつきました。こっちが何も問いかけなくとも、いろいろな情報を一方的に教えてくれるのですから、どうすればお客さまが怒らずに喜ばれるのかが手に取るようによく分かりました」

   普段なら相手の懐に入る「カットイン」を経て、ようやく引き出せる本音や具体的な要求が、黙っていても先方からどんどん出てくるわけです。確かに、最初は感情的な物言いかもしれませんが、こんなチャンスはめったにありません。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。執筆にあたり若手ビジネスマンを中心に仕事中の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
姉妹サイト