方法は「自社の優位性をアピールする」だけではない
従来は「空の旅は全日空をご利用ください」とアピールしてきたウェブサイトで、企業の伝えたい宣伝文句ではなく、日本の魅力の訴求に徹している背景には、海外から日本への観光客が減少していることがある。
日本政府観光局の発表によると、2012年2月の訪日外国人数は54万8000人で、前年同月に比べ19.3%減。東日本大震災が発生した11年3月から、12か月連続で減少したことになる。
このような背景から、全日空は他社比較よりも、日本に旅行に行きたいという潜在ニーズの喚起が必要だと判断したのだろう。「日本は安全です!」と声高にアピールするよりも、普通の日本の姿を紹介する方が効果的だ。
また、「IS JAPAN COOL?」のサイトでは、ペア航空券が当たるキャンペーンが展開されている。日本への関心が刺激された訪問者の意識を、「日本に行くなら全日空」に誘導するしくみだ。
自社の宣伝文句に頭をひねるだけでなく、顧客のいまの気分や、自社が属する業界全体が求められていることに敏感になるのが大事だと、このサイトは伝えている。このほか全日空のサイトでは、世界に先かげて就航させている新世代機ボーイング787を紹介するコーナーも好評のようだ。(岡 徳之)