特に日本では「見た目よりも声が大事」な理由
お店で気に入らないことがあって文句を言いたい時に、ものすごい美人や超イケメンの店員さんが出て来たら、腹が立っているのも忘れてしまって、落ち着いたお願い調になったりしないでしょうか。
初めてあいさつをする時や、クレーム対応しなければいけない時でも、「声が美人」「声がイケメン」なら有利だよなあ――。そんなことを考えながら、話し方の本を読み、セミナーに参加していたとき、こんな興味深い話を聞いたことがありました。
「母国語が異なる多人種が暮らす欧米では、相手の表情やしぐさを見て相手の人となりを判断することが多い。しかし、日本語を話す同人種がほとんどの日本では、見た目よりも声のトーンによって相手の印象を決める傾向が強い」
あれ…。確か、ベストセラーになった『人は見た目が9割』(新潮新書)では、声や話の内容よりも顔の表情などの見た目の方が、相手の印象をより決定づけると書かれていたはずです。
でも、『その話し方では軽すぎます!』(すばる舎)の矢野香さんによると、日本社会で相手に印象を与えているのは、意外なことに「声」→「顔や服装」→「体格」の順番だという説があるというのです。
これはあくまで一実験例のようですが、言われてみれば確かに、私たち日本人は身振り手振りが大きくありませんし、日本語のコミュニケーションが洗練されて、ちょっとした言葉の調子で相手の感情を読み取ったりしている気がします。
なによりも、電話では見た目で勝負することはできません。みなさんも気の進まない電話をするときには、話す内容や言葉遣いに加えて、高めのテンションでいくか、低めの堅い話し方でいくか、使い分けてみてはいかがでしょうか。(N本=えぬもと)