売り手・買い手に気づきを与える「ヒアリング」――勝ち残るリアル営業(3)

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誘導質問の前に「本音の糸口」を探すこと

   具体的なヒアリングのやり方を考える際には、前回取り上げた「カットイン(切り込み)」との関係が重要になります。飛び込みでいきなり商品セールスを始める営業は論外としても、信頼感や親近感を抱く間もなく、いきなりヒアリングに入る営業マンが私のところにもよく来ます。そんな相手には面食らいますし、

「見ず知らずのあんたに、なんでこっちの考えをあれこれ話さなくちゃいけないの?」

という疑問が頭をもたげてきます。そうなると「図々しい奴だ」と腹立たしくもなり、「悪いね、今忙しいから」と追い返すことになるのです。

   ヒアリングを円滑にすすめる「準備段階」としてのカットインの方法は、前回の記事を参照いただくとして、ヒアリングは相手との距離を縮めてからスタートすべし、とあらためて認識してください。

   ヒアリングにおける質問の仕方は、場面ごとにやり方が異なります。クロージング近くで一定の結論に導きたい場合には、「××は嫌ですよね?」「○○だと思いませんか?」といった「はい」か「いいえ」で答えてもらう「誘導質問」が効果的です。

   ところが、相手のニーズが盛り上がっていない段階でこれをやると、相手に警戒感を与え、「そうはいくもんか」と見えない抵抗を受けることになってうまくいきません。

   導入段階でいくらか親近感をもっていたとしても、誘導質問を繰り返していてはお互いのキャッチボールが進みません。ヒアリングの初期段階では、極力「はい」や「いいえ」で答えられない質問をぶつけ、相手の懐に入り込み、本音の糸口を探すことが大切です。

   次回は「クレーム対応」を契機とするヒアリングについて検討します。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。執筆にあたり若手ビジネスマンを中心に仕事中の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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