楽しそうに仕事をする人のところに、おいしい仕事が寄ってくる

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   リクルート社時代の上司が、いつもこう語っていました。

「いいか、仕事の報酬は、お金じゃないんだ。仕事で返ってくるんだぞ」

   そんなものなのか、と漠然と聞いていましたが、「売れる営業」になったとき、それが本当のことであると痛感しました。

   大型契約をしたお客さまから、別のお客さまをご紹介いただけたり、社内で「この仕事は君にしか任せられない」と難度の高いやりがいのある企業の担当をさせてもらえたのは、お客さまの満足を含む「仕事の成果」の賜物でした。

「次の仕事」が来れば仕事が楽しくなる

とりあえず仕事を楽しそうにやってみる
とりあえず仕事を楽しそうにやってみる

   もちろん、報酬は仕事だけではありません。大きな仕事、やりがいのある重要な仕事で成果を上げれば、金銭的な報酬だって当然上がります。組織の中での権限が大きくなり、やりたいことが自由にできるようになりました。

   そうすると、仕事をするのが楽しくなってきます。「仕事なんてつまらないもの」と決めつけていても、いつまでも楽しい仕事ができませんし、なにしろ自由を手に入れることができません。

   確かに、仕事で成果を上げてもすぐに認められるとは限りませんし、成果を上げて注目されそうな仕事にありつけないかもしれません。そこには運もあるでしょう。

   しかしそれでも、いまの場所から脱却できるかもしれない方法が、ひとつあります。それは「とりあえず仕事を楽しそうにやってみること」です。そのわけは、上司やお客さまから見て、楽しそうに振る舞う人の方が、「前向きで成果につながりそう」な期待値を感じるからです。

   参考までに、以前私の部下で対照的な振る舞いをしていた、A君とB君の2人の営業を比較してみましょう。

【楽しそうに仕事をしているA君】
何を相談しても「笑顔で前向き」な答えが返ってくる。「仕事が楽しい」といつも口にしている。多少の難題をぶつけても前向きに善処する対応をみせてくれる。
【つまらなそうに仕事をしているB君】
何を相談しても「しかめっ面で後ろ向き」な答えが返ってくる。営業の仕事に対する愚痴をよく口にしている。ちょっと難題をぶつけただけで、やる気なさそうに対応する。

   仮に2人が同じくらいの力量なら、「次の仕事」はA君に頼みたいと思うのが自然ではないでしょうか。

あえて3か月間「楽しいと思い込んでみる」

   実は私は入社当時、営業以外の部署を希望していたこともあって、営業の仕事は楽しくないなあと思っていました。しかし、上司や先輩たちから、

「つまらなそうな顔していると取り残されるぞ。新人には元気くらいしか取柄がないんだから」

と言われ、カラ元気を出していました。ところが不思議なもので明るく元気にしていると仕事が集まり、売れるようになって本当に楽しい状態になっていきました。

   「楽しそうに仕事をする」ことで、「次の仕事や協力者が集まる」→「成果があがる」→「権限や金銭的な報酬が得られる」→「仕事が楽しくなる」のサイクルが始まるわけです。

   「でも営業は毎日忙しいし、しんどいことも多いから無理」と感じる方も多いと思います。それを承知で、私はあえてお願いしたいと思います。「騙されたと思って3か月間、楽しいと思い込んで欲しい。楽しいフリでもいい」と。

   「営業をすると学べる、得する」「お客様と会えることは楽しみ」「経営者にお会いできるので勉強になる」などと、いいことを思い浮かべて「だから営業は楽しい」と思って行動をしてください。そのうちに本音で楽しいと感じることができるようになるはずです。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
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