公開中の話題の映画、『ヤング≒アダルト』を観てきました。20代半ばの筆者から見ると、シャーリーズ・セロン演ずるアラフォーの主人公メイビスがあまりに痛々しいと思うシーンが多かった一方で、最後はなぜか温かい気持ちになれた作品でした。
メイビスが人の幸せについてつぶやいたとき、映画館でひとり見ていた40歳前後の女性が声を上げて泣いたのが見えました。暗くてよく分かりませんが、あれは「私もそう思ったことがあった」という共感の涙だったのではないでしょうか。
バブリーな過去を忘れられず、元カレを色仕掛けに
あのシャーリーズ・セロンが、キティTシャツにジャージ&ノーメイクで出演する『ヤング≒アダルト』。(c)2011 Paramount Pictures and Mercury Productions, LLC. All Rights Reserved.
主人公は37歳になった今でも、高校時代にモテモテだった栄光を引きずる女性。「魚くさい田舎町」を出て、都会に住んでいます。自称・売れっ子作家ですが、実は売れないゴーストライター。バツイチでアルコール依存症と危険な面もあります。
あるとき、高校時代の元カレのバディから「赤ちゃんが産まれた」という知らせとともに、命名式への招待状が。メイビスは「一体何をしたいの?」と怒り狂いますが、思い直して既婚者の彼を奪う作戦に出ます。生活を変え自分を磨いて着飾り、最高に美しくなって彼との再会を果たします。
それからメイビスは、彼の気を引くため「モンスター女子」のように想像を超える振舞いをします。彼女なりに純粋な気持ちでやっているのですが、アラフォーという年齢を考えると明らかに異常なので、一種のホラーのようでもあります。
また、当時歯牙にもかけなかった太っちょオタクのマットとも再会。元カレ奪回の進捗を報告したり、アルコールを浴びるほど飲んだりと、彼にだけは素直な一面を見せます。このあたりの様子は、女性の孤独さが表現されていて切なくなりました。
特に共感したのは、彼女が故郷を「田舎過ぎてつまらないところだ」と毛嫌いし、そこを飛び出して都会で働いているところ。地方から東京に出てきて働く筆者も、主人公と自分を重ねてしまいました。