2012年2月に運営を開始した就活サイト「ミートボウル」は、学生が「自分が得意なこと」や「変わった経験」で登録し、会社からスカウトを受けるスタイルを採っている。学生は大学名を伏せて登録でき、選考を通過すればエントリーシートなしで面接に臨むことができる。
企業の採用ニーズを受けてサイトがあらかじめ設定した「得意」「経験」は現在50種類。すでに数百人の応募がある。「そろばん一級」「ロボットコンテスト出場経験者」など専門スキルに関するものから、「リア充アニヲタ採用」「ツイッターマスター採用」などユニークなものも数多くある。
挫折経験が生きる「勝てない主将」「万年補欠」採用
特に目を引くのは、体育会系人材に関する企画だ。「県大会決勝悔し泣きキャッチャー採用」は、高校野球で県大会決勝戦にキャッチャーとして出場するも、敗退した経験のある人に限って登録が可能だ。
「紙一重の力で全国的な晴れ舞台には立てなかったけれども、実力はあのスーパースターとそこまで変わらないかもしれない」というのが、企画のコンセプト。世の社長にはキャッチャー出身者が多いという説もある。
「勝てないチームのキャプテン採用」は、大学時代、勝率が3割以下の体育会チームのキャプテンを1年以上務めていた人向け。「勝利というご褒美なしにチームをまとめ上げる」ことのできるキャプテンには、相当な能力が求められるという見立てだ。
大手商社などでは、強豪チームのレギュラーやキャプテンの経験が、就職に有利になるのはよく知られた話。チームプレーで高い結果を出してきた人材が、会社からも歓迎されるのは当然だろう。
とはいえ、血のにじむ努力を積み重ねても、勝負には時の運もあり、誰もが華々しい結果を出せるとは限らない。これまで、そんな過去を封印して就職活動に臨んできた人にとって朗報となるに違いない。
このほかスポーツ系では、いわゆる強豪チームに所属しながら試合出場が通算5回以下の人材が応募できる「強豪チームの万年補欠採用」や、全国レベルの大会で入賞経験のある競技者だった人材が応募できる「スポーツエリート卒業しました採用」などもある。努力をしながら挫折を味わった人を求める会社が多いようだ。