しがらみを取り除く「国の介入」はあってよい
もし仮に、早期に選択と集中が行われていれば結果はどうなっていただろう。
三菱電機は、パナソニックやソニーといった競合に勝てないと見切りをつけ、90年代末から産業用製品に特化する道を選んだ。同じころ富士通は、ライバルNECがガッチリとNTTに食い込んでいるため、やむを得ず海外展開に力を入れた。
両社ともそれが幸いし、この3月期も黒字を確保する見込みだ。しがらみさえ捨てられれば、日本のエレクトロニクスには地力があるということだ。
国による上からの産業政策はナンセンスだとの声が圧倒的だが、筆者は、しがらみを取り除く形での介入はあってよいと思う。
先のない事業を維持させるための手助けではなく、本当に組織が生まれ変わるための手術と、その痛み止めこそ、官民一体となって実現すべき目標ではないだろうか。
城 繁幸