日の丸エレクトロニクスが「選択と集中」に踏み出せない理由

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

しがらみを取り除く「国の介入」はあってよい

   もし仮に、早期に選択と集中が行われていれば結果はどうなっていただろう。

   三菱電機は、パナソニックやソニーといった競合に勝てないと見切りをつけ、90年代末から産業用製品に特化する道を選んだ。同じころ富士通は、ライバルNECがガッチリとNTTに食い込んでいるため、やむを得ず海外展開に力を入れた。

   両社ともそれが幸いし、この3月期も黒字を確保する見込みだ。しがらみさえ捨てられれば、日本のエレクトロニクスには地力があるということだ。

   国による上からの産業政策はナンセンスだとの声が圧倒的だが、筆者は、しがらみを取り除く形での介入はあってよいと思う。

   先のない事業を維持させるための手助けではなく、本当に組織が生まれ変わるための手術と、その痛み止めこそ、官民一体となって実現すべき目標ではないだろうか。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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