自分の子どもに働く力をつけさせたい親は、子どもにシンプルな名前をつけた方がいい――。米ライブサイエンスによると、豪メルボルン大学と米ニューヨーク大学の研究者が、職場の昇進に「名前」が関係しているという研究結果を発表したそうだ。
具体的に上がっている名前の例は、「Michael」や「Tom」「Jane」や「Mary」。名前の長さや、「外国っぽい名前」、珍しい名前かどうかは関係なく、とにかく分かりやすく発音しやすいことが大切らしい。
日本の首相には「一郎」も「角栄」もいるが
このニュースが転載されたネット掲示板のスラッシュドットでは、シンプルな名前が有利な理由について意見が交わされていた。
「シンプルな名前は既に耳に馴染んでいるので、名前をすぐに覚えてもらえるというメリットもあるんでしょう」
「『北別府はメジャーでは絶対に通用しない。名前が発音しにくいから』とデーブ・スペクターが言ってました」
確かに日本の内閣総理大臣を思い浮かべても、吉田茂や鳩山一郎、麻生太郎などシンプルな名前を持つ人はいる。しかし一方で、田中角栄や福田赳夫(たけお)、鈴木善幸(ぜんこう)、細川護熙(もりひろ)などといった人もおり、一概に言えない気もする。
日本の場合には苗字、名前のいずれが関係するのか、という意見もあった。
「欧米のようにfirstname(名前)で呼び合う事は少ない(苗字で呼ぶことが多い)ので、日本国内で同様の調査をしたら違った結果になる可能性も高いしね」
「家庭での呼び方にも原因がある可能性もあるんじゃないかな?成長過程の影響は小さくない。だとすると、given name(名前)で呼ばれることが多いだろうから…」
家庭では「ヨシヒコ!」と下の名前で呼ばれて育ち、職場ではもっぱら「野田さん」と苗字で呼ばれる日本では、海外とは異なる特徴があるのかもしれない。
また、最近若い世代の親で流行している難読の名前「キラキラネーム」に言及する意見も出ていた。研究者が発表した「分かりやすく発音しやすいこと」に反するので、出世に悪影響があるというのだ。
「奏人と書いてタクトと読む方がインパクトある」
この意見に対しては、名前そのものよりも、「(子どもの)キラキラネーム」と「親の所得や学歴」に関係があるのでは、という厳しい意見もある。その一方で、逆に出世に有利と主張する人もいる。
子どもを保育園と小学校に通わせる20代前半の母親Oさんによると、キラキラネームの多くは読みにくいかもしれないが、発音はしやすいというのだ。
「キラキラネームは2音や3音が多くて、ちゃんと親が子どもを呼びやすいように考えてるんですよ。乃碧(ノア)や暖音(ノンノ)、奏人(タクト)や望来(ミライ)って、発音しやすいじゃないですか? こっちの方が絶対みんなに可愛がられる。うちのおじいちゃんみたいにヒデノリとか、呼びにくいですよ」
また、人の名前を漢字で覚えることは稀だし、名刺やメールの署名などにはフリガナを振っておけばいいだけなので、読みにくいことはさほど問題にならないという。
「あのー、これまでだって『孝一』はコウイチなのかタカカズなのかとか、迷うことはたくさんあったんじゃないですか? それに比べたら『奏人と書いてタクトと読む』の方が、ずっとインパクトがあって覚えてもらいやすいと思いますけどね」
それなりに説得力のある主張だが、どちらが正しい意見なのか。こればかりは時代が検証してくれるのを待つしかない。