日本にも「プロフェッショナルな公務員」が必要だ

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不要な公共投資を減らし、柔軟な資金調達も増やせる

   ロンドン市(Greater London Authority)ともなると、CFOは15万ポンドくらいの年棒となる。市長よりも高い。今でこそ、為替が1ポンド120円くらいだから1,800万円程度だが、少し前なら3,000万円プレイヤーということになる。

   それだけ支払っても、プロフェッショナルな能力にもとづいて職務をしてもらう方がよいと、彼らは考えているわけだ。予算が何兆円という組織で、ちょっとした財務改革をするだけで、CFOのコストは無視できるくらいに小さなものにしかならない。

   日本でも、はやくこうした自治体CFOを登用していくべきである、と僕は心底思っている。それこそが自治体経営を改革するときの本質だと確信している。

   自治体CFOをできる能力のある人は、世の中に実はいっぱいいる。大手のメーカーでCFOをされた方などは、最適ではないか。10年、20年を見越した投資意思決定をよりよくできるはずだと思う。

   自治体CFOを置くことで、不要な公共投資がなくなるかもしれない。今後の社会福祉費用の増大にも、政治とは切り離した具体的な改善案が出てくるかもしれない。足りないおカネの調達だって、「10年固定で集めるのがよい」という一般的な思い込みを覆すことができるはずだ。

   自治体という、一見すると古色蒼然とした組織にこそ、CFOというプロフェッショナルが必要なはずなのである。僕は、そう願いながら、府市統合本部の特別参与としてふたたび大阪に通うことになった。


大庫 直樹

大庫直樹(おおご・なおき)
1962年東京生まれ。東京大学理学部数学科卒。20年間にわたりマッキンゼーでコンサルティングに従事。東京、ストックホルム、ソウル・オフィスに所属。99年からはパートナーとして銀行からノンバンクまであらゆる業態の金融機関の経営改革に携わる。2005年GEに転じ、08年独立しルートエフを設立、代表取締役(現職)。09~11年大阪府特別参与、11年よりプライスウォーターハウスクーパース常務執行役員(現職)。著書に『あしたのための「銀行学」入門』 (PHPビジネス新書)、『あした ゆたかに なあれ―パパの休日の経済学』(世界文化社)など。
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