不要な公共投資を減らし、柔軟な資金調達も増やせる
ロンドン市(Greater London Authority)ともなると、CFOは15万ポンドくらいの年棒となる。市長よりも高い。今でこそ、為替が1ポンド120円くらいだから1,800万円程度だが、少し前なら3,000万円プレイヤーということになる。
それだけ支払っても、プロフェッショナルな能力にもとづいて職務をしてもらう方がよいと、彼らは考えているわけだ。予算が何兆円という組織で、ちょっとした財務改革をするだけで、CFOのコストは無視できるくらいに小さなものにしかならない。
日本でも、はやくこうした自治体CFOを登用していくべきである、と僕は心底思っている。それこそが自治体経営を改革するときの本質だと確信している。
自治体CFOをできる能力のある人は、世の中に実はいっぱいいる。大手のメーカーでCFOをされた方などは、最適ではないか。10年、20年を見越した投資意思決定をよりよくできるはずだと思う。
自治体CFOを置くことで、不要な公共投資がなくなるかもしれない。今後の社会福祉費用の増大にも、政治とは切り離した具体的な改善案が出てくるかもしれない。足りないおカネの調達だって、「10年固定で集めるのがよい」という一般的な思い込みを覆すことができるはずだ。
自治体という、一見すると古色蒼然とした組織にこそ、CFOというプロフェッショナルが必要なはずなのである。僕は、そう願いながら、府市統合本部の特別参与としてふたたび大阪に通うことになった。
大庫 直樹