「上から目線」が嫌いで「言われたことしかやらない」若者の動かし方

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   ネット広告の代理店で働くSさん(33歳)から、「今どきの若者」についての話を聞きました。彼は大手広告代理店から管理職として転職してきたのですが、あまりに職場環境が違うので戸惑ったといいます。

   まず、社員の平均年齢が20代であること。服装は私服が大半であること。それに職場の上下関係が希薄であること。自由な雰囲気がネット新興企業の特徴であり、新しいものを作るのには適しているのかとも思いましたが、最近はちょっと我慢がなりません。

「机の上をきれいに」と指示しても誰も動かない

「上から目線」にはなぜか超敏感
「上から目線」にはなぜか超敏感

   とにかく、何事も言われたことしかやらない。報告、連絡、相談がおろそかで、注意をしても「何を言いたいのか意味わかりません」と言い返されて絶句することも。大手のルールを叩きこまれてきたSさんは、「この職場は俺に合っていないかもしれない」と思ったそうです。

   先日も、以前から気になっていた部下たちの机の汚さについて、整理整頓を心がけるよう注意を促しました。お菓子やおもちゃ、マンガ本の散らかり方が、目にあまるようになってきたからです。

   そこで、部下たちが席についているのを見計らって、「おい、みんな、仕事をする机の上はきれいにしなさい。これじゃ効率的に仕事ができないだろう」と言いましたが、誰も動こうとしません。小声で「何言ってんの、きれいじゃない」とまで言う子もいました。そこで帰りがけに、

「明日中に机の上をきれいにすること。わかったな!」

と言い残して退社しました。

   しかし、翌日になってもなんの変化もなし。それでも我慢して「机をきれいにするように」と繰り返し注意しましたが、何人かが手元の書類をゴミ箱に捨てた程度。

   これは許せない――。上司をバカにするのもいい加減にしろと限界を感じた瞬間、思わぬことが起こりました。部下の一人で、社歴の比較的長いDさん(27歳)が同僚たちに声をかけたのです。

「机にモノを置いて帰るのはやめよう。なくなって困るのは自分だから」

行動レベルに落とせるように噛み砕いて

   すると部下たちは「はーい」「そうだね」「ごもっとも」などといいながら、おもむろに仕事を中断し、机を片付け始めたのです。お菓子の袋を片付け、おもちゃをかばんや引き出しにしまい、読み古しのマンガ本を紐で束ね……。

   15分もすると、机の上から私物が一切なくなる人も出てきました。その様子を見てSさんはあぜんとしましたが、ともかく彼が望んだ状態になったのです。

   SさんとDさんには、どんな違いがあったのでしょうか。まず、Sさんがイメージする「きれい」が部下たちに伝わっていなかった可能性があります。この会社の状態しか知らない若者にとって「何が悪い?」としか思えなかったわけです。

   彼らを動かすには、行動レベルに落とせるように噛み砕いて、何をどうすればよいか具体的な指示をすることと、それをすることによるメリットを添えてやることが必要です。

   もうひとつは、Sさんが命令口調で「わかったな!」と言ったことが「上から目線」として反発されたのかもしれません。上司は会社であり、部下は会社から給与を得ている限り、上司の指示に従うのが原則です。

   しかし、そういう原則を自覚していない若者は、指示や命令を「上から目線」と受け取って反発するのです。Dさんのように、同等あるいはお兄さんの目線から、「○○しよう」と呼びかけるのは効果的です。

   バカバカしいと思う人もいるかもしれませんが、マネジメントは結果。結果のためには、必要な手段を採るしかないというわけです。

高城幸司

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
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