行動レベルに落とせるように噛み砕いて
すると部下たちは「はーい」「そうだね」「ごもっとも」などといいながら、おもむろに仕事を中断し、机を片付け始めたのです。お菓子の袋を片付け、おもちゃをかばんや引き出しにしまい、読み古しのマンガ本を紐で束ね……。
15分もすると、机の上から私物が一切なくなる人も出てきました。その様子を見てSさんはあぜんとしましたが、ともかく彼が望んだ状態になったのです。
SさんとDさんには、どんな違いがあったのでしょうか。まず、Sさんがイメージする「きれい」が部下たちに伝わっていなかった可能性があります。この会社の状態しか知らない若者にとって「何が悪い?」としか思えなかったわけです。
彼らを動かすには、行動レベルに落とせるように噛み砕いて、何をどうすればよいか具体的な指示をすることと、それをすることによるメリットを添えてやることが必要です。
もうひとつは、Sさんが命令口調で「わかったな!」と言ったことが「上から目線」として反発されたのかもしれません。上司は会社であり、部下は会社から給与を得ている限り、上司の指示に従うのが原則です。
しかし、そういう原則を自覚していない若者は、指示や命令を「上から目線」と受け取って反発するのです。Dさんのように、同等あるいはお兄さんの目線から、「○○しよう」と呼びかけるのは効果的です。
バカバカしいと思う人もいるかもしれませんが、マネジメントは結果。結果のためには、必要な手段を採るしかないというわけです。
高城幸司