通販サイトにはできない「カットイン」のコツ――勝ち残るリアル営業(2)

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リアル営業なら「ヒアリング」につなげられる

   また、予備調査として「取引履歴の洗い出し」を行い、過去に取引をしたことがある場合には、「以前に○○のお手伝いをさせていただいたことがあるのですが」と切り出すことも、相手に親近感を持たせる近道になります。

   営業戦術において、どこの企業でもできる「過去に取引があった先の復活折衝をしよう」というキャンペーンの実行が、全くの新規開拓よりも効果的なのは、こんな理由によるところが大きいのです。

   ネット通販においては、取引履歴を基に「おすすめ商品の提示」をするところがあります。この機能はある意味で相手の懐に入り込むネットのカットイン的試みですが、初めての訪問者には機能しませんし、「○○がお好きなようですね」→「ではこれはいかがですか?」というあくまでセールスの場を離れられない提案しかできないのも弱点です。

   リアル営業においては、必ずしもセールスにとらわれない自由な切り口の話題で相手の懐に入り込み、次のステップである「ヒアリング」によるニーズの掘り起しにつなげることができれば、ネット営業とは一味違う優位性を表せる場になります。

   逆に言えば、このステップがうまくいかなければ、ネットとの価格競争に巻き込まれて負けてしまうおそれが高くなるということです。

   なお、相手が個人の場合には少々事情が違います。本人のことをあまり詳しく知りすぎていると、ストーカー的でむしろ気持ち悪がられます。誰でも知りえる周囲の住環境や前庭の木々、駐車場に止めている車などをさらりとほめ、相手を気持ちよくさせることあたりから始めるのがいいでしょう。


大関 暁夫

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大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。執筆にあたり若手ビジネスマンを中心に仕事中の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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