「奥さんともご無沙汰だろ?」 部長の気遣いはハラスメントか

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
ハラスメントは「受け手の問題」ではあるが…

   行為者が意図するかどうかにかかわりなく、その言動が相手方に不快と受け止められ、仕事をする環境が損なわれる場合には、ハラスメントになる可能性があります。今年1月、厚生労働省のワーキンググループが「職場のいじめ・嫌がらせ問題」に関する報告を発表しましたが、この中の「パワハラの行為類型」に当てはめれば、今回のケースは「私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)」に該当するおそれがあります。

   とはいえ、部長の言動には職権を濫用して部下に嫌がらせをする意図がなく、むしろ逆であることが明らかです。Aさんの受け取り方も疲労のせいか、やや過敏なところがあるかもしれません。会社としては、部長をパワハラで処分する必要はないと思われますが、後に別のトラブルに発展するおそれもあるので「何もなかったことにする」のではなく、双方から言い分をきちんと聞いて双方のコミュニケーションのずれを調整し、記録に残しておいた方がよいでしょう。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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