審査が通らない理由は「お答えできません」
現在の貸金業法では、個人の借りられる金額はその人の年収の3分の1までと定められています。収入のない専業主婦の場合、借入は一切できません。
ただ、それは新しい借入をする場合の話で、貸金業法の改正前から専業主婦が借りている場合、その金額は夫の年収(世帯収入)の3分の1の総量規制に含まれてしまうことが多いのだそうです。
「つまり、旦那さんが目いっぱいキャッシングできると思って申し込んだのに、奥さんが内緒で使ってる分の金額が借りられなかったってこと?」
Y実ちゃんはうなずきました。そんなシチュエーション、気まずすぎる! 審査が通らなかった理由は、プライバシーの関係で配偶者でもお答えできませんが、なんとか察していただきたいところです。
ちなみに、契約時に申告してもらうのは、配偶者の氏名と生年月日のみ。借入の有無や金額を尋ねなくても、社内のデータベースで検索すれば、同じ会社で借り入れをしている配偶者の情報がヒットすることがあるわけです。
お互いに内緒で借りていたことが発覚しなければ、知らないうちに家計が破たん状態になってしまいます。そのための「配偶者チェック」なのですが、それはお客さまを思う優しさなのか、貸し倒れを防ぐ防衛手段なのか…。Y実ちゃんがつぶやきます。
「私は別に自分の彼氏や旦那さんが借金しててもいいけど、それを隠さないで欲しいと思うんだ。ああ、でもその前に、お互い彼氏なんとかしなきゃね……」
「そ、そうだね……」
買ってきたビールを全て飲みほし、マッコリとワインの瓶を開けながら、督促の話を肴にグダグダな鍋会は朝まで続くのでした。
N本(えぬもと)