社会保険労務士・野崎大輔の視点
電話申請を原則とするルールを作ることは可能
有給休暇の申請手段は法的に定められていないので、基本的にメールでも電話でも認められます。しかし、メールのみではいけない合理的理由があれば、電話連絡をルール化することは可能です。職場によっては、社員の健康状態の把握や、代替体制の確認など、電話でやりとりした方がよいケースはあると思います。
ただ、電話申請でなかったからといって、いきなり欠勤控除で減給するのは慎重にすべきです。確かに有給休暇は事前申請が原則で、当日申請の場合に「欠勤から有休に振り替える」かどうかは会社の裁量です。とはいえ、今回のように体調が極端に悪いなどの不可抗力もありますし、有休消化率の低い職場で欠勤にすれば社員の強い反発も予想されます。いくつかの労働基準監督署に確認してみましたが、「問題ない」という意見と「厳しすぎるのではないか」という意見に分かれていました。
実務的には、基本的なルールを定めつつ、守らなかった場合には出社後に社員の事情を聞き、必要に応じて注意指導の対象とし、度重なるようであれば欠勤のうえ戒告などの処分をするという運用にしてはいかがでしょうか。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。