臨床心理士・尾崎健一の視点
メールの当日申請でも問題ない職場はあるはず
工場長がメールでの申請を禁止するのは、有給休暇取得のハードルを上げる意味合いが強いのではないかと、うがった見方をしてしまいます。欧米には年次有給休暇とは別に「シックリーブ」という病欠用の有給休暇が使えますが、そのような制度がない会社が、通常の有給休暇も十分に取らせないまま当日申請も断固として認めない、というのは会社の横暴とも言えるのではないでしょうか。
今回のケースが製造ラインであれば人員の確保などの制約はあるのでしょうが、仕事の裁量と責任が個人に重くのしかかっている他の仕事においては、状況次第で柔軟に「当日申請」しやすくする方が、社員の健康管理とモチベーション向上につながると思われます。
また、有給休暇の申請がメールのみではいけない合理的な理由とは何でしょうか。健康状態の把握であれば、メールで自己申告させることもできるはずです(電話口でわざとらしく「コンコン」と咳をさせる手間も省けます)。代替体制も事前にルール化して、メールで知らせてもらうことは可能です。「当日申請になった理由」「対応方法(医療受診の可否など)」「今後の見込み」などをフォーマット化することでカバーできることも多いはずです。