スマートフォン市場で激しいシェア争いをしている、アンドロイド携帯とiPhone。ある調査によると、高収入層に支持されているのはiPhoneの方だそうだ。海外出張に持って行くビジネスパーソンも多いことだろう。不慣れな地では、いつも以上に頼りになる。
そんな便利なツールも、ちょっとした思い込みが大惨事を招くこともあるようだ。ライターの遠竹智寿子氏は、ドイツ出張にiPhoneを持っていったところ、帰国後に驚くほど高額の請求を受けてしまったという。
勝手に「パケット非定額」につながってしまう怪
「思い込みというのは怖い。本当に怖い」
遠竹氏が2012年2月3日の「週アスPLUS」に書いているところによると、1月のある日、auのお客様センターから突然電話があり、海外でau iPhoneのパケット通信料が76万円になることを知らされたのだという。
「はっ?」と耳を疑った遠竹氏が原因を調査したところ、auのiPhoneでは手動で接続事業者設定ができず、定額制ではない「課金制の事業者」へ勝手に接続が切り替えられてしまう場合があることを知る。
確かに遠竹氏はドイツ出張中、ことあるごとにiPhoneを使っていた。ミュンヘンで道に迷い、吹雪のなかGPS機能とネットでようやく目的地までたどり着いたときには「命の恩人」とさえ思ったほどだった。
遠竹氏は友人の言葉などから、海外で使うときも
「てっきり該当キャリア(パケット定額対応接続事業者)に自動的につながってくれるもの」
と思い込んでおり、さらにauのサイトに書かれていた「海外ダブル定額の事業者拡大で安心」などのキャッチも「『自動接続だから安心』というニュアンスで私のなかにはインプットされていた」と振り返る。
実はauのiPhoneを海外利用したときの危険性については、ネット上で発売後に指摘されていた。遠竹氏は「パケット定額提携事業者よりも非提携事業者のほうが強いエリアでは危険なことになる」と警鐘を鳴らす。
au側も「手動設定できない」落ち度を認める
今回遠竹氏の経験記事を読んだ人たちは、
「パケ死こえェ」「自動ローミングはヤバイですね」
と恐怖におののいているが、なかには「知ってた」「知り合いも同じくドイツでパケ死してたな」「私が真っ先に指摘していた事が、現実化してしまいましたね」「やっぱり被害でたな」という反応も。
なお、遠竹氏がその後auとやりとりをした経緯によると、au側も「手動設定できない」ことは落ち度として認め、今回の請求については善処してもらえそうとのこと。手動設定の対応については、
「現在、iPhoneの仕様変更もしくは、アプリ提供の形のどちらかで、対応するよう動いている。3月提供予定だが、正式な日にちは未定」(遠竹氏)
との回答を得たという。
これまでチラホラ指摘の声があったにもかかわらず、今回大きな話題になったのは、やはり「実際に経験した人の声」がネットに上がった初めてのケースだったから、というところだろうか。