臨床心理士・尾崎健一の視点
不正発見のしくみとして「長期休暇」を組み込むことも
今回の件は部長の管理責任も問われるべきですが、すべての部下の行動を逐一監視することは困難です。ハラスメントや不正は長期休暇中に発覚することがあるので、定期的に長期休暇を取らせて、これをしくみ化することも考えられます。
長期休暇の目的には、従業員のリフレッシュやワークライフバランスの促進だけでなく、仕事上の不正や癒着がないことや、仕事の属人化リスクがないかのチェック、雇用維持のためのワークシェアリングなどが考えられます。欧米では、長期休暇中に別の担当者が業務を行い、人員と仕事量のバランスが適切であるか(仕事がキツすぎないか、さぼっていないか)のチェックを行う会社もあるようです。
なお、長期休暇中の社員を「欠席裁判」にかけて「無実の罪を着せる」ことがないよう、処分を行うときには本人からの丁寧な聴取を欠かさないようにしましょう。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。