お客さまがキャッシングを利用される理由は様々です。若い人に多いのが「友だちの結婚式が重なってしまって」というケースです。
確かに、結婚式がひと月に複数重なると、かなり厳しいものがあります。結婚式を挙げられる方々は、借金してまで用意した(利息を上乗せされた)ご祝儀を受け取っている可能性も考慮し、末永く幸せでいていただきたいと思います。
レジャーもいれば、子どもの急な入院で必要な人も
他には年末年始、ゴールデンウィークといった季節的な出費。レジャーや出張などの旅費、お子さまの学費など。生活費に使われている方は、ボーナスで一括返済する場合が多いです。
中には遊興費に使われる方もいらして、「いままでさんざん遊ばせてもらったよ! ありがとな!!」と一括で支払っていった豪快な会社経営者もいらっしゃいました。
「借金は悪いこと」という考え方への賛否はあります(貸金業に携わりながら個人的にも迷うことがあります)が、世の中には資金を必要としている人が存在するのも事実です。
「頼む、なんとかしてくれ! 本当に今使えないと困るんだよ!」
「そ、そう言われてもお客さま、申し訳ございません…」
ある日、私はオペレーターブースで縮こまっていました。その男性からの電話は、最初「自分のカードは、あといくら使えますか?」という問い合わせでした。
けれどこのお客さまは、つい最近長期の延滞状態になったことがあり、カードが使えなくなっていました。私はカードの状態を伝えましたが、それでも本当に困った様子で「できたらカードで使える金額を増やして欲しい」「なんとかならないか?」と食い下がってきました。
「子どもが入院することになって、その費用がいるんだ。他にも消費者金融を利用しているけど融資してもらえなくて、ちょっとでもいいからキャッシング使えるようにしてくれよ!」
本当に困った人にさせない「督促」の責任
うーん、困った。真剣な様子から、本当に資金を必要とされていることが伝わってきます。理由も、なんとかお力になりたいと思うものです。
けれど、信用情報に長期の延滞記録が残っている以上、当社はもちろん他社での借り入れも難しく、これから別のカードを申し込んだとしても審査で断られてしまう可能性が高いのです。
「なんとかしろよ!!」
「お力になれず、申し訳ございません…」
身を半分にかがめながら、15分ほど繰り返し増額できない理由を説明しました。結局、なんとか納得していただきましたが、最後は叩きつけるように電話を切られてしまいました。
(長期延滞にさえなってなかったら…。もったいないな、本当はこういうお客さまにこそカードは必要なのに)
私の督促でもっと早めの回収ができていたら、今回の事は防げたのかもしれない。交渉記録をパソコンに打ち込みながら、こういうお客さまが少しでも減るように、督促を頑張らなきゃと思うのでした。
N本(えぬもと)