もしかして、スマホじゃなくてもいいのかもしれない…

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   40代の女性会社員A子さんは、ある日、自分のスマートフォンの動作がすごく遅くなっていることに気づきました。

「私、ボンヤリしてるでしょう? 日常の異変にあんまり気づかないタイプなんですよね。ふとした時に、『あっ、そう言えば』って気がつくの。今回も同じで」

   会社で同僚に訊ねたところ、インストールしているアプリの数が多いうえに、常時あるいは定期的に起動しているものも多いからだ、と指摘されました。

フリーズしたら電話もメールもできなくなった

   そこで、昼休みにやり方を教えてもらいつつ、必要ないと思われるアプリの削除をすることに。

「買ったばかりの頃に、友人や同僚から奨められるままにいろんなアプリをインストールしていたんですね。そのなかには、もう使ってないものもあるから、と思って削除を始めたんですけど…、アプリの名前だけでは何をするものだったかわからないのも多くて。それで、その場では削除の手順を教えてもらって、続きは自宅でやることにしたんです」

   帰宅して子どもと晩ご飯を食べてから、作業開始です。ご主人は飲んで帰ってきたため、「俺はちょっとわからん」と言ったまま、お風呂に入ってすぐに寝てしまいました。

   A子さんは一人、居間に残って設定を開き、アプリケーションのリストを表示させて削除していきます。

「なんでだろう、その時、ふと4日ほど前に古い友人からもらったメールアドレスを登録していなかったことを思い出して。ああ、登録しなきゃ、って設定を閉じて受信箱を開こうとしていたら、突然画面が動かなくなっちゃったんです」

   いわゆるフリーズです。慣れた人なら、電源を長押しして強制終了し、ちょっと間を置いてから再起動、というところです。しかし、A子さんはその手順を知りませんでした。

「夜も11時近く、いまから会社の人に電話しても大丈夫かな、って思ってたんですけど、よく考えたら電話番号はスマートフォンに登録されていて覚えてない。メールを送ろうと思っても同じこと」

   A子さんは削除作業を諦めて、翌日、あらためて会社の同僚に訊ねることにしました。スマートフォンは一晩フリーズしたままです。

「もうケータイに戻そうかなって」

   結局、同僚に再起動してもらい、削除もそこそこ進み、動作も新品の時ほどではなくとも軽くなりました。

「でも、思ったんですよね。削除してたら、意外と使ってないアプリも多かったし、電池の減りも早いし、私ってスマートフォンをタップしている人の姿を見て、格好いいなって思ってただけじゃないのか、って。音楽も、そんなに頻繁に聴くわけじゃないし。よくよく考えたら、日常的に必要なのは電話とメールだし…」

   ということで、「もうケータイに戻そうかなって」思ってる昨今なのだとか。

「ところで、フィーチャーフォンって、ケータイとスマートフォンの間みたいなものなんですか?」

   その理解で必ずしも間違ってはいませんが、フィーチャーフォンはケータイですよね。って答えるとA子さんは混乱するでしょうから、

「日本のガラパゴス化したケータイと、海外で発展してきたスマートフォンとは、同じ山の頂上に向かって別のルートで登ってきたみたいなものなんですよ」

と言うと、A子さん、「ふーん、なんでそんな面倒なことをしてきたんでしょうね?」。

   そこにあまり食いつかなくても…。ショップで最新のケータイを見せてもらって、説明を受ければ、A子さんの日常生活的には、たぶん大丈夫な予感がします。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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