臨床心理士・尾崎健一の視点
双方にメリットを感じられるようにする方法はある
有期雇用で新卒募集をすることで、従来なみの優秀な人材が集まるかどうか不安なところです。うまくやらないと「この会社は大した処遇もしないのに、社員を使い捨てしやすくつもりだな」と反発を招きかねません。それでも、労使双方がメリットを感じられる方法はあると思います。制度の意図を明確にし、正社員登用後の待遇を魅力的にした上で、長期継続雇用を見据えた有期雇用契約を使うことによって、会社は人を雇いやすくなり、求職者のチャンスも増えます。もともと3年で新人の3割以上が辞める時代ですから、正社員のポジションより職務経験を重視する人が増えてきてもおかしくないでしょう。
また、優秀な人材が一人前になったのに「3年経ったら本人からバイバイ」となっては問題です。予防策として、給与や福利厚生などの待遇でつなぎとめるのはもちろんのこと、「会社がチャレンジさせてくれる」といった企業風土の改善や、契約社員というだけで不公平な評価を行わないといった評価システムの整備も重要になるでしょう。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。