「新卒入社は3年契約でいいじゃん」と社長が言い出した

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臨床心理士・尾崎健一の視点
双方にメリットを感じられるようにする方法はある

   有期雇用で新卒募集をすることで、従来なみの優秀な人材が集まるかどうか不安なところです。うまくやらないと「この会社は大した処遇もしないのに、社員を使い捨てしやすくつもりだな」と反発を招きかねません。それでも、労使双方がメリットを感じられる方法はあると思います。制度の意図を明確にし、正社員登用後の待遇を魅力的にした上で、長期継続雇用を見据えた有期雇用契約を使うことによって、会社は人を雇いやすくなり、求職者のチャンスも増えます。もともと3年で新人の3割以上が辞める時代ですから、正社員のポジションより職務経験を重視する人が増えてきてもおかしくないでしょう。

   また、優秀な人材が一人前になったのに「3年経ったら本人からバイバイ」となっては問題です。予防策として、給与や福利厚生などの待遇でつなぎとめるのはもちろんのこと、「会社がチャレンジさせてくれる」といった企業風土の改善や、契約社員というだけで不公平な評価を行わないといった評価システムの整備も重要になるでしょう。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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