東京大学が、秋入学に全面移行すべしとの中間報告を出した。同時に複数の大学にも協調を呼びかけ、すでにいくつかの国公立大は検討を開始したという。海外と卒入学時期がそろうことによる人材交流というメリットを別にしても、日本企業の人事戦略に大きな影響を与える決定だ。
ただ、そのあたりの重要性がイマイチ理解されていないようなので、簡単にフォローしておきたい。仮に、東大が近いうちに春入学から秋入学となり、卒業は4年半後の春となったとする。ごちゃごちゃ説明するのもなんなので、浜田君と清家君という2人の高校生をモデルに説明したい。
半年間の海外インターンを売りにする学生が出る
2人は同じ高校の同級生で、浜田君は東大に、清家君は慶応大学に進学した。清家君は卒業翌月の4月から、元気に三田キャンパスに通って学生生活を謳歌し始めたものの、浜田君は入学までの半年間が暇である。
というわけで、バイトでもしたい。でも、どうせバイトするなら話題の企業で社会勉強もしたいし、ついでなら興味のある中国語を学べる環境で働きたい。
浜田君は半年間ほど上海の語学学校に短期留学しつつ、ユニクロ上海支店でインターンを始めた。18歳の浜田君にとって、半年間とはいえ、入学前にホットな上海でのインターンを経験したことは、強烈な刺激となった。
特に、グローバル企業での立身出世を目指す同世代の中国人社員と接したことは、彼のその後の学生生活に大きな影響を与えることとなった。
さて、それから5年後。浜田君は就職活動を開始し、手始めに、同級生の清家君が一足先に就職している大手電機を訪問した。
「当社は中国ビジネスにも力を入れているから、ぜひともうちで働いてくれたまえ」
ところが、その会社は横並びの初任給制度しかない。当然、前年度に1年早く入社した清家君より、1年分低いお給料からのスタートだ。
「僕の方がいろいろと面白い経験をしているはずですが、そこは評価していただけないんですね。では結構です」