リア充たちが潜伏する「合格者コミュ」「内定者コミュ」

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   大学入試の季節です。去年は京大で不正入試をやらかそうとした受験生がいて、筆者もバタバタしていたことを思い出します。

「試験会場で“ITを駆使”しようとしたのは、去年の彼が初めてかもしれませんが、合格発表後のIT化は以前から進んでいたんですよ」

   学生動向に詳しいライターのAさんが言いました。

入学式が「第1回オフ会」に

   合格発表後のIT化というと、通知がメールで来るとか入学手続きがネットでできるとか、そういうことなのでしょうか。

「いやいや、学生の方です。SNSが一般化して以降、合格者の誰かがコミュニティをつくって、そこで入学前に交流するのが当たり前になってるんですよ」

   言われてみれば、受験生どうしが高校や予備校での友人、知人というケースは多々あるでしょう。○○大学☓☓学部合格者で集まろうと呼びかけるのも、ワケないことです。

   もちろん、全員が全員集まるというわけでもないそうですが、なかにはとても仲良くなり、ものすごく盛り上がるコミュニティも珍しくはないのだとか。

「兄弟姉妹やその友人などからゼミや一般教養の情報を聞いてきて、お互いに情報交換するなんて朝飯前。サークルやバイト先の情報もあったりして、大学の裏オリエンテーションみたいになっていますよ」

   生きた情報そのものが流通しているわけですから、学生にとっても役に立つし、面白いはず。そりゃあ、盛り上がるのでしょう。

   ハンドルネームはおろか、ある程度の個人情報も公開しあうのですから、会ったことがない者どうしでも関係は密にならざるを得ません。

「さんざんSNSのコミュニティで盛り上がってるもんだから、入学式が第1回のオフ会になっちゃう(笑)。初見なのに、互いにハンドルネームやSNS内で付いたあだ名で親しげに呼び合ってね」

   事情を知らない新入生や上級生は、ポカンとするしか仕方ありません。

春は「ながら使い」の若者が増えるのかも

   ところが、「さらに、まだあるんです」とAさん。

「最初の頃に『合格者コミュ』を立ち上げた学生が、就職したわけですよ。もちろん就活コミュも立ち上がって、大学横断的に運営されるものもできて。それで、今度は『内定者コミュ』ですよ(笑)」

   案の定、兄弟姉妹や就活中に知り合ったOBOGから情報を集め、社内の空気や部署の裏ネタなどを交換。コミュの運営方法も先輩から後輩に伝えられ、なかには会社、業界など複数のコミュを運営したり、参加したりする学生も登場しているそうです。

   そして、やはり入社式が第1回めのコンパとなる、と。

「ということで、いまの受験生、大学生が一番欲しがるのがスマホ。井上さん、若者が街中や電車内でスマホの『ながら使い』をしていて危ない、アホかって言ってたでしょう? それってちょうど、大学や会社のコミュに夢中になっていた人たちだったのかもしれませんよ」

   うーん、夢中になる気持ちはわかります。自分が学生だったら、間違いなく没頭するだろうし。

   …いやいや、やっぱりダメです! スマートフォンは歩きながらじゃなく、店に入るとか、街中なら座れるベンチなんかも多いんだし、止まってから使いなさい。回りは邪魔だなぁって思ってんだし、事故になったら迷惑だから。


井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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