臨床心理士・尾崎健一の視点
仕事を丁寧にやりそうな「好感」に焦点を当てる
人間には、ある顕著な特徴があると、それにひきずられて他の特徴の評価がゆがめられることがあります。これは「ハロー効果」と呼ばれます。学歴が高いだけで人格的に優れていたり仕事の出来がよいと思われたりするのも、この心理的作用によるものです。このような認知バイアスは、相当意識して排除しないと修正が難しいので、容姿が特別に優れた人が採用選考に有利になることは現実にありうるかもしれません。
とはいえ、モデルのような美形ばかり採用しても、会社は業績を上げることができないでしょうし、そういう人しか就職できないわけでもありません。ルックスを広い意味で「対面した印象」と捉えると、重要なのは単なる美醜だけではない「好感」であることが分かります。質問への対応の仕方、仕草や笑顔、自己表現などの総合が好感をもたらします。姿勢がよいだけできちんとしている人に見られやすいですし、清潔感のある服装や髪型は、生活の質や、仕事を丁寧にやってくれるかどうかの判断材料となります。これらの多くは容姿とは違い、自分で修正できる余地が大きいものです。日頃の生活態度を見直して「好感」を磨きましょう。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。