「新党きづな」が筋を通すための、たった2つのこと

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   昨2011年末に民主党を離党した議員たちが「新党きづな」を結党した。なんでも、消費税引き上げ方針に反対して、マニフェストに筋を通すのだという。

   でも、これはおかしな話だ。本当に筋を通すのなら、無駄の見直しによる財源確保に失敗したので、増税か社会保障カットをお願いしますと頭を下げればいい(野田総理は前者をやろうとしているわけだ)。増税は嫌です、かといって年金カットも口にしないというのは、もっとも筋の通らない姿勢だろう。

散る前に本当のことを言ってもらいたい

   そこで、新党きづなの皆さんに、筋を通すための提案を2つしておきたい。

1.「老人福祉をカットする」を綱領に明記する

   現在の日本には、増税か、高齢者向けの社会保障給付をカットするかの二択しか選択肢が残されていない。というか、現実には増税だけだと消費税30%以上に一気に引き上げないといけない水準なので、消費税10%なんて焼け石に水である(それでも、数の多い団塊世代に少しでも負担してもらうためにもすぐに引き上げるべきだと思うが)。

   そして、そんな事実は、どの政党も腹の底では分かっている。分かってはいても、最初に言い出せば寄ってたかって叩かれて落選するから言いだせないだけなのだ。そして、この「消費税で言うと30%分」という痛みは、先に延ばせば延ばすほど大きくなり、それを負担する人数も減ることになる。日本の閉塞感の根っこはこれなのだ。

   そんな中、ここで一発「来年から即時、年金削減を要求します」といえばあら不思議。いきなり現時点で最高の政治家集団に早変わりできるじゃないですか。本音を隠してぐだぐだ政治ごっこを続けている三流政党の中にあって、新党きづなだけは後光が射して見えるに違いない。

   はっきり言って、今回民主を辞めた皆さんの名前なんて誰も知らないし、いまどき「増税反対」ってだけで支持が集まるほどバカやってる余裕は日本にはもうない。

   高齢者は自らの社会保障を確実にするために増税を支持しているし、若年層はもう年金を半ばあきらめ、近い将来の大増税を予期しつつ、政治の虚実を冷淡に眺めているだけだ。せっかく作った新党は、次の解散までの短い命に終わるだろう。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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