大阪市のIT企業、ネットバリューでは、社員同士のコミュニケーションの場に参加した社員に対しポイントを付与する「スタンプラリー」制度を採用している。
社員旅行やレクリエーションなどの行事に参加した社員に、上司がポイントを付与。1ポイントにつき1000円が半期ごとの賞与に加算される。上司におごってもらう飲み会に参加した場合でもポイントはつき、半年で20ポイント(2万円分)を集めた社員もいるそうだ。
資格取得より「組織を活性化させる人材」重視
このニュースには、ネット上で予想通り「2万円とかいらねえから飲み会やめろ」「アル中には超嬉しい制度だね!」と揶揄する意見が盛り上がっている。
その一方で、飲み会の参加には効果があり、「飲みの力=出世力」だと主張する声も散見される。
「飲みに付き合ってただけで、派遣バイトから大手一部上場の正社員になれた。まぁ工員だけどさ。30歳まで引きこもりニートやってた俺にしちゃ、夢みたいな大出世だよ」
信憑性は不明だが、仕事をするのは人間である限り、緊密な間柄の方が仕事は円滑に進む面もあるだろう。誰かに気に入ってもらい、引き上げてもらうきっかけのひとつになる可能性もある。
「上司と飲む時間より個人でスキルあげる時間にした方がいいわ」
という声もあるが、ネットバリューでも以前は自己啓発を促すため、資格取得の受験費用を支給していた。しかし、ひとりコツコツ勉強する社員よりも、組織を活性化させ社業に積極的に関わる人材を育てた方がよいと判断し、制度を切り替えたという。
ひと目で分かる「部下の面倒見のよい上司」
「スタンプラリー」制度は、新卒学生向けの人材募集情報にも掲載されており、「部署が違っても上司に声がかけやすく、交流が深まりやすくなっています」といったメリットもあげられている。直属の上司との関係強化だけがねらいでないところが興味深い。
社員を出世させるということは、部下を持たせるということ。人の育成やケアなどのマネジメント要素を考えれば、実力主義のみ主張して交流の場にも参加しない社員には「怖くて人をまとめる立場にはさせらんない」という意見にも、それなりの説得力がある。
同社でも「スタンプラリー制度によって、どの上司が盛んに交流を行い、部下のケアを行っているのか、ひと目で分かるようになった」という。部下に気を使って飲みに連れ出す上司も楽ではない。