帝国データバンクが全国1万746社から回答を得た調査によると、「暴力団から不当な利益供与を要求された」ことがある企業は997社で、全体の9.3%を占めた。
業種別では、小売業(17.7%)、建設業(16.6%)における割合が高い。要求の具体的な内容としては「商品購入の要請」が最も多く、高額な芳香剤などの購入や、機関紙の定期購読を強要されるケースがあったという。
「銃弾を打ち込まれた」「電線を切断された」企業も
また、「入札を降りろ」「工事の下請けをさせろ」と脅されるなど「業務遂行に関して制止や方向転換の圧力を受けた」ことのある企業は、325社(3.0%)。正当な手続きを踏まないゴミ処理への参加など「コンプライアンスに反する行為に加担するような誘いを受けた」企業も150社(1.4%)あった。
「既存取引先が後になって反社会的企業であることが判明した」と回答した会社は235社(2.2%)。要求を断ったり参加を拒否したことをきっかけに、「銃弾を打ち込まれた」(建設業)、「電線を切断された」(製造業)という企業もあった。
全国で施行されている「暴力団排除条例」には、契約時に相手方が暴力団関係者でないことを確認し、判明した場合には催告なく契約を解除できる旨の特約を定めることを努力義務としている。
このような条項を契約書に原則盛り込んでいると答えたのは、現状では16.6%程度。ただし、金融業では59.7%、不動産業では58.7%と、業種によって取組みが進んでいるところもあるようだ。
回答企業からは、被害者であるはずの企業が、暴力団と取引をしてしまったがために罰則を受けるリスクがあることに対し、不満の声もあった。相手からの報復のおそれもあり、「市民に丸腰で戦えといっているようなもの」として、条例ではなく法律で対応すべきだという意見も見られた。