「就活では美人が有利か?」。このテーマは、いつの時代でも女子学生の悩みの種。結論から言うと、美人は有利な場合もありますが、いちがいには言えないようです。
まず、「就職に容姿は関係ない」と言ってしまうとウソになります。例えば、いわゆる美人が有利な職種が厳然と存在します。飲食店やブライダル、航空など接客サービス関連の職種がそうですし、営業系でも容姿重視の会社があります。
美人がかえって不利になる場合もある
多くの人の目に触れるテレビ局のアナウンサーなどもそうだということは、誰もが認めることでしょう。広告塔である人事に美人を持ってくる会社もあります。
結婚退職が多数を占める一般職でも、美人が有利な場合があります。某金融機関の採用担当は、
「うちの若い男性社員とくっついて欲しいので、事務系の仕事がこなせそうかどうかに加えて、容姿も目安のひとつになりますね」
と言っていました。
しかし、その逆に、希望の職種に就くために美人が足かせになりうる場合もあります。アメリカ・コロラド大デンバー・ビジネススクールの調査によると、財務部長、機械技術者、建設現場監督などの仕事では、美人がむしろ不利になっていたそうです。
調査の信憑性はわかりませんが、顧客に女性が多い場合には、美人は必ずしもメリットにはなりませんし、男性スタッフが多い場合には、トラブルの元にもなりかねないのも事実です。「美人だから選んだんだろう」とからかわれたくないという話は、日本の採用担当者からもよく聞きます。
容姿だけで、気位が高そうというイメージを持たれることだってありえます。本人にとって心外だと思いますが、要するに美人で損をする人もいるということです。
美人でなくても就活を有利に進める方法
それでは、美人でも不利にならないためには、どうすればよいか。私は、日頃から「聞き上手」になろうと努力することがポイントになると思います。相手の言うことにきちんと耳を傾け、正確に理解し、明るく応対する。そうすれば、「この人、美人なのに気さくだ」と好感度が上がります。
美人でない学生が不利になるのは、これの裏返し。容姿に極端なまでに引け目を感じて、
「どうせ美人の方が有利なんでしょ、それにひきかえ私は…」
と内に籠ってしまう人は、正直ウザったい。美人かブスか以前に、社会人としての適性がないと判断され落とされやすいのです。
それでは、美人でない学生が有利になるのは、どんなケースでしょうか? 採用担当者に聞いてみました。
「美人を必ず採用したいとは思わないし、普通・ブサイクを必ず落とすというわけでもない。ただ、あまりにも無表情だと、どっちでも落とすことはよくある」
「普通でもブサイクでもいいんですよ。ただ、コンプレックスを引きずっている人よりは、森三中とかハリセンボンなどのように、それすらネタにできるほど開き直れる学生であれば採用したい」
容姿に限らず、人は多くの点で小学校あたりまでは同じ位置にいたとしても、大学生や社会人ともなれば、あからさまな差が出てきます。
ある人は美人だし、ある人はお笑い芸人としての才能に恵まれ、ある人は文章が書けます。そして、ある人はそうではありません。残酷かもしれないけど、それが現実です。でも、ある一面で負けたからと言って、他の面でも負けとは限りません。
ないものはないと割り切り、良い部分を伸ばす。それが美人でもブサイクでも就活に勝つ近道なのではないでしょうか。
石渡嶺司