サッカー女子W杯で優勝した「なでしこジャパン」の活躍にあやかり、選手たちが会見で着用していたものと同じスーツを就職活動で着たいという問い合わせが、アパレルメーカーに多数寄せられているという。
本当に、そんなに支持されているのか。ちょっとミーハーすぎないか?と思いつつ、就活中の女子大生や勤務中のOL、人事部の男性たちに話を聞いてみた。
否定派「おじさんはスカートがいいんでしょう?」
「なでしこスーツ」は、ネイビー地にピンストライプのジャケットとパンツ、鹿の子素材を用いたシャツに、幾何学模様のスカーフの4点セット。オンラインストア限定で予約販売中だ。
有名女子大4年のTさんは、まさに就職活動の真っ最中。なでしこスーツが一般販売されると聞き、「試しに買ってみようかな」と思ったという。
「やっぱり話題だし、会見で見たときの格好もすごく決まっていた」
普段はカジュアルな服装で過ごすTさんには、タイトスカートのスーツは堅苦しく、オンナっぽすぎて抵抗があるらしい。「就活には自分らしいスタイルで臨みたい。パンツスーツのアイテムをひとつ増やす感覚で、魅力的だなと思ったんです」
ネックになるのは価格で、スーツ本体だけでも5万円以上。シャツとスカーフを足すと、さらにおよそ2万円が上乗せされる。
「いまは面接に行く交通費もかかるし、スーツにそれだけお金を出す余裕がない。確実にいい会社に入れるんだったら、長い目で見て安いものなんでしょうけど」
別の有名私大3年の女子大生Sさんは、「就職にはあんまり効果ないですよね」と、いきなり冷ややかな反応だ。その理由は「面接官はみんな男性だから」。
「だって、おじさんたちは、なんだかんだ言ってスカートの方がいいんでしょう?あのスーツ、ゴツすぎじゃないですか。私たち女性がなでしこジャパンをステキと思う気持ちと、オトコの人の視点は微妙に違いそう」
社長との話のきっかけになりそう?
勤務中のOLにも聞いてみた。都内商社で精力的に働く31歳女性は、なでしこスーツ販売のニュースを見て、同僚たちと「商魂たくましすぎ!」と大騒ぎしたと明かす。
単なる空想と断った上で、チームが勝ち進むにつれて「あのスーツ、うちの会社が納めたよな」「優勝したら売り出せるだろ」と社員たちが騒ぎ出し、作戦会議に発展していたのではないかと推測する。
「だって、そうじゃなかったら、優勝してすぐ『問い合わせ殺到!』なんて言えないじゃないですか。あのスーツがどこの会社の製品かなんて、普通の人は知るはずもないんですから」
皮肉っぽい見方だが、もしも自社製品をなでしこジャパンが使っていたら、「もちろん大々的に宣伝して売りますよ!」とのことだ。
人事担当者はどう思っているのか。中堅商社の30代の担当に聞くと、「清潔感が出てれば、なでしこスーツでなくてもたぶん同じですよ」とのこと。メーカーの50代人事マネジャーは「個人的には少しあざとい感じがするね」としつつ、
「うちの社長なんかは、目ざとく見つけて『それ、なでしこスーツでしょう!』と突っ込みそうな気もする。あとはその後の受け答え次第でしょうな」
特製スーツで就職戦線の金メダルを獲得する女子学生は、果たしてどのくらい現れるのだろうか。