被災地での横柄な態度が批判され、松本龍議員が復興相の辞任に追い込まれた。そんな中、ソフトブレーン創業者の宋文洲氏が「被害者」の知事に対して、国に媚びることを勧めるように読める書き込みをツイッターに行い、話題となっている。
松本議員が辞任を表明したのは、2011年7月5日の午前。宋氏のツイートは、その日の午後6時すぎから相次いで投稿された。
礼儀を知らないホリエモンは「生存できない」
宋氏はまず、これまで「松本さんより何倍もキツイおじさんにいくらでも会ってきた」とし、世襲でもなく無名な人が日本社会で成功しようと思えば
「まず偉いおじさん達に媚びることだ」
と信条を明かした。そして、
「私は『自分が売春婦以下』とよく思った。でもそれが仕事だ。文句がない」
と続けた。おそらく中国に生まれ、国費留学生として来日した後、起業して東証1部上場を果たした過程で壮絶な苦労をしたのだろう。
それが「松本さん」とどう関係があるのか。どうやら「お客(俺)が来るときは先に部屋に居ろよ」と「恫喝」された宮城県の村井嘉浩知事に言いたいことがあったようだ。
宋氏は、県民の選挙で選ばれた村井知事が「あなた(松本議員)に媚を売る必要がないと思っている」と想像した上で、「成果を最大化しようとすれば、媚びることも重要だ」と知事の不手際を批判する。
そして、ライブドア事件で収監中の堀江貴文氏などの名前を挙げて、「おじい様から『礼儀を知らない』と思われた人は生存できない」「今後は変わると思うなら、幼稚だ」と忠告している。
ただし理不尽を無条件に肯定しているわけではなく、媚びることは「老害を迂回し、老害を無力化する早道」であり、「本当にプライドを持つ」ならば「目標のためなら私は媚びる」というのが彼のスタンスなのだそうだ。
「今後も変わらない」は正しいのか
この投稿をまとめたリンクの閲覧数は、1万5000回を超えている。ツイッターでも400以上のコメントがついており、「一理どころか何理もあるな。深い」「我が意を得たり」「目から鱗」「圧倒的にagree」と肯定するものが目に付く。
一方で、批判もある。たとえば、村井知事が「あなたに媚を売る必要がない」と言った事実はなく、実在しない発言を根拠に批判しても意味がないという意見だ。
また、「理不尽に頭を下げた経験が、他人に理不尽に頭を下げさせる原因になる」など、悪循環は断ち切るべきという意見も少なくない。媚びたかどうかで物事の進み具合に影響が出るのは、危機感が足りないからという指摘も、もっともだ。
宋氏のツイートに、「韓信の股くぐり」を思い出したという声もあった。紀元前の中国で、後に名将となる韓信が少年に挑発され、「その剣で俺を刺せ。さもなくば俺の股をくぐれ」と言われた際、「恥は一時、志は一生」と黙って股をくぐったという話である。
今回、松本議員は発言の責任を取って大臣を辞職し、「偉いおじさん」が敗れた結果となったが、復興への取組みが前に進んだわけではない。やはり誰かが「股くぐり」をするまで、物事は進んでいかないのだろうか。