日本生産性本部が2011年度の新入社員2154人に「デートの約束があった時、残業を命じられたらどうするか」と尋ねたところ、「デートをやめて(キャンセルして)仕事をする」と答えた人が87.0%にものぼったという。
1972年の調査開始以来、最高の水準。91年のバブル期には4割近くいた「残業を断ってデートを優先する」層は、今回12.5%にまで落ち込んでいる。
「定年まで勤めたい」が「状況次第」上回る
入社した会社に「定年まで勤めたい」と答えた人の割合も、過去最高の33.5%にのぼり、調査開始以来初めて「状況次第で変わる」を上回った。
これらの結果に、「そこまでして(会社に)しがみつくか」「情けない」と批判する声も聞かれるが、ようやく就職先を勝ち取った苦労と安堵の気持ちを考えれば、「背に腹は代えられない」という気持ちも理解できる。
都内IT企業に入社したある女性によると、その会社では社内研修のテストで一定水準の得点を取らないと、配属先が決まらないしくみになっているという。
「行き先が決まらず、1年持たずに辞めてしまう人も少なくない。社内の競争をクリアしなければ会社に残れない。入社したからといって、ホッとしていられないです」
そんな状況ではデート優先など、とても考えられないというわけだ。
ネット上には、女性から「仕事と私、どっちが大事なの?」と言われたときの、さまざまな切り返し方法が書き込まれている。面倒くさい気持ちを我慢し「そんなこと言わせてごめんね」と甘いセリフをささやくのが理想的という説もある。
しかし、「仕事優先」が9割を占める新人に同じことを聞けば、
「仕事のない俺を、お前は愛せるのか?」
と、逆に質問を突きつけられてしまうのではないか。
もっとも、「デート」という選択肢があまり重視されていないという説もある。内閣府の調査によると、20~30代の独身男女のうち「恋人なし」「交際経験なし」と答えた人は63.7%。彼氏、彼女がいなければ、確かにデートを口実にすることもない。