政党も企業も「関ヶ原」から変わっていない

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   僕はたまに政党とお仕事をすることもあるのだが、はたから見ていると政党というのは、実に企業とよく似ている。まず、どこの政党でも、だいたい10%くらいは一芸のある「専門家タイプ」がいて、官僚と互角以上の議論ができ、実際の政策立案に携わっている。

   では後のセンセイ方は何をしているかというと、各種の団体や組織との利害調整を行う「調整タイプ」と、適当な親分を見つけて鉄砲玉になる「滅私奉公タイプ」がほとんどだ。

   ちなみに、ブームの直後には「なんでこんなアホがここにいるんだろう」レベルの人が多数いるという点でも、バブル直後の民間企業によく似ている。

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本題そっちのけの内紛、400年前も

   そういう観点からみると、いまだに理由がさっぱりわからない民主党内の骨肉の争いの構図もうっすら見えてくる。

   小沢派というのは要するに、調整タイプの雄である小沢センセイ1人と、滅私奉公でしか自己表現できない不器用なセンセイ多数による純度の高い体育会みたいなもので、こういうグループは専門家タイプの議員とは決定的にソリが合わない。

   というか、「合理的に考えれば、これこれこうで~」と専門家が説けば説くほど、奉公人たちは、

「親分に何を言うか!」

とアウトレイジするので会話が成立しない。

   小沢さんが必ず組織を割る理由は、一言でいえば「肌が合わない」わけで、いくら話しあっても解決できる問題ではないし、どこに行っても同じ問題が起きるだろう。

   こういった「専門家タイプ」vs「調整タイプ+滅私奉公タイプ」の争いは、民間企業内では日常茶飯事だ。

   大企業では未遂も含めれば、10年に1度くらいはクーデターが発生するものだが、だいたいはこういった構図が背後に隠れている(“伝統”とか“古き良き”というキーワードを掲げている方が滅私奉公派)。

   古くは、関ヶ原における豊臣家の文治派 vs 武断派の対立もそうだった。

「今、そんなことで争ってる場合じゃないだろ?」

という突っ込みは、たぶん400年前も今も変わらないと思われる。

有権者が変わらなければ繰り返す

   よく議員定数の削減が話題になる。多くの場合、そういう人は滅私奉公タイプの削減を念頭に置いているようだ。

   ただ、恐らくは定員を半分にしても、それぞれのタイプが半分になるだけで、比率は大きくは変わらないだろう(むしろ相対的に選挙に弱い専門家タイプが減る可能性もある)。

   企業と政党の類似性を見ると、「政治は有権者の鏡」だというのがよくわかる。

   選ぶ我々の側が変わらないかぎり、本題そっちのけで行われる政治の「関ヶ原」は、これからも何度も繰り返されるだろう。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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