スタジオ02の大関です。今回もネット上にあまり書かれていない「営業」のポイントを、質問に答える形で解説します。
Q:第二新卒で入社して半年。徹底的に理不尽な営業所長に参っています。いまどき「顧客獲得のない日は、獲れるまで深夜でも電話をかけまくれ!」と大声で怒鳴りますし、夜遅くまで働いていても「獲得のないヤツに残業をつける資格はない!」と言い切ります。もう辞めたい、でもこのご時勢には転職先も見つかるかどうか分からない。この地獄、どうしたら抜け出せるでしょうか(金融商品販売・Tさん)
所長の「真意」に考えをめぐらせてみる
A:転職を迷っているようですが、これだけの就職難でも、営業職のスキルを求める会社は少なくありません。きちんとした営業の経験を積む覚悟があれば、他の職種より選択肢は多いといっていいでしょう。
とはいえ、安易な転職が通じるほど甘くはありません。いまの職場で働き続けるべきかどうか判断する基準としては、必要な給与がもらえるか、健康が維持できるかなどに加え、「誇りを持って働ける仕事であるか」も大切な要素であると思います。
「誇り」といっても、世間的に有名だとか華やかだとか、他人に自慢できるとかそういうことではありません。まず、自分の仕事が顧客にとって価値のあるものになっているでしょうか。
なかには一部の顧客に支持されているものの、多くの犠牲の上に成り立っている場合もあるので要注意です。他人に迷惑をかけたり、騙したりする営業手法をとっていないか、社会的な存在意義についても考えてみるべきです。
「深夜でも電話をかけろ」という所長の指示は、相手の迷惑を考えていない点で大きな問題があるように見えます。しかし、頭を冷やしてこう考えてみてはどうでしょうか。
所長の真意は、「深夜に電話をかけずに済ますために、あらかじめいろいろ作戦を考えておけ」という意味なのかもしれませんし、「目標の達成を簡単に諦めるな」というゲキかもしれません。また、少数でも夜中に喜んで対応してくれる層があることに気づいていないだけかもしれません。
ただし、むりやり深夜に電話をかけさせるだけだったり、相手に怒鳴られても平気な上司なら信用に値しません。勇気を振り絞って、
「夜間の営業はお客さまにもご迷惑がかかりますから、明日がんばって今日の分まで埋め合わせをしますので終わりにします」
と言っても聞く耳をもたず、サービス残業を強要し、誰もが所長の言いなりなら、これは「社風」確定です。会社が問題を起こす前に、タイミングを見て辞めて差し支えないと思います。
「だまし商法」の下で働くのは時間のムダ
相談には含まれていませんが、理不尽な営業を強要する会社には、扱っている商品やサービスにも問題がある場合があります。
顧客への詐欺行為がある場合は言語道断ですが、商品機能や製造工程に関する虚偽や欠陥の隠ぺい、さらには従業員の強制労働的指導も含めて、法令違反と思しき行為を組織ぐるみで行う会社には、即刻見切りをつけるべきでしょう。
明らかな法令違反がない場合でも、営業として売る商品が、
「どうみてもお客さまの役に立つものではない」
と思われる場合も、退職を検討するのが妥当です。そんな商品を売るとなれば、営業担当者は押し売りや騙し売りにならざるを得ません。会社が直接法令違反をしていないと主張しても、営業が手を汚すことになります。
商品の大幅な値引きが横行する会社も要注意です。最初から商品にふさわしくない価格をつけているわけですし、他にこれといった強調点がないから値引きをセールスポイントにするわけです。
営業職として有益な経験を積むためには、「だまし商法」のような、本来あるべき営業活動を期待されていない職場で働くことは時間のムダと考えてよいでしょう。
※営業を中心としたお仕事の悩みについて、筆者がお答えします。記事のコメント欄にどしどしお寄せ下さい。
大関 暁夫