女性誌などの影響もあってか、女性は自分を「個性的」「自分の考えを持っている」と思いたがる。一方で男性は、「やさしくて、明るくて、気が利いて、素直で、礼儀正しくて、思いやりがあって、健康的で、癒し系」の女性と結婚したいと思っているという。このギャップを埋めなければ、「婚活」は成就しない。
結婚情報サービス大手オーネットでマーケティングなどに携わってきた西口敦氏は、婚活中の女性は同性のウケを気にせずに、オトコの好みに合わせた「ベタなテクニック」を使うと、意外なほど効果があると指摘する。
男性の8割が喜ぶなら、やってみる価値アリ
――たとえば、あなたはこういう女性をどう思うだろうか。
朝早いデートで車で迎えに来てもらったとき、手作りのおにぎりや温かいコーヒーを用意しておく。決して、市販のパンやコンビニおにぎりでなく。
喫茶店に入って、男性が頼んだコーヒーが出てきたら、「お砂糖とミルク、お入れしましょうか?」なんてさらっと笑顔で聞き、実際に入れてあげる。
そして、別れ際には女優のような笑顔で、「今日はありがとうございました。すごく楽しかったです。ニコッ」。小さなクッキーかチョコレートの小袋をバッグに忍ばせていて、「これ、お腹すいたら召し上がってください」……
「絶対に友達になりたくない」と思った人も多いのでは? 一般に、仕事を持っている女性は、こういったテクニックを過小評価する。女性でこんなことをやっている人がいたら、あっという間に仲間外れになる。合コンでやったら、二度と女の子仲間から呼ばれない。
しかし、オトコは違う生き物なのである。私は、女性たちにショックを与えるために、セミナーでこの話をしたら、すかさず男性の参加者たちに質問するようにしている。
「男性の方、正直に。こんなこと女性にされたら、けっこう嬉しいかも、という人は手を挙げてください」
通常、8割以上の男性がニヤニヤしながら手を挙げる。これは、男性の対象セグメントを問わない。物事を理性的に合理的に判断しそうな理系男子、院卒・一流大卒の比率がとても高い男性たちであってもまったく同じである。参加している女性たちはその光景を目の当たりにして、自分たちの思い描く「男性像」とのギャップに「ええー??」「まじでー??」「ありえない!」といった驚きの悲鳴を上げる――
(西口敦著『普通のダンナがなぜ見つからない』文藝春秋、143~144頁)
(会社ウォッチ編集部のひとこと)
温かいコーヒーやおにぎりを用意するだけで、「やさしく、礼儀正しく、癒し系で、あなた思い」の女性を演出でき、小さなお土産を渡すだけで、別れてからも印象づけることができる。筆者によると、他人が気づいていないところで、他人がやっていないやり方で戦うことが重要なのだという。自らのプライドを守って「そんなことで喜ぶ男性は相手にしない」「そこまでしてまで尽くしたくない」と考えるのか、それとも「敵を知り、己を知る」と戦略的な思考を優先するのか。婚活を前に、女性はいずれかの選択に迫られるのではないか。