アラフィフ部長、部下に「ジョージャク」の意味を教わる

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   大手電機メーカーに勤める40代後半のAさんは、総務グループの部長。先日、30代のB課長と会社帰りに飲みに行ったとき、こんな質問をされたという。

「部長、いまの20代って、何て言われると一番悔しがるか、知ってます?バカとかアホじゃないんですよ。ジョージャクですよ、ジョージャク」

知らないとバカにされる「ネットの常識」

情報を追っているつもりで振り回される
情報を追っているつもりで振り回される

   バカやアホより腹が立つ「ジョージャク」とは、どういう意味かと尋ねると、

「情けに弱い、と書くんですが、人情派とかそういう意味じゃなくて、『情報弱者』の略なんです」

   情報弱者とは、かつて「デジタル・デバイド」と同じ意味で使われ、IT機器を活用できない高齢者や低所得者などを指していた。しかし、いまの若者たちは、ほとんどの人がパソコンや携帯電話はもちろん、最新のスマートフォンも当たり前に使っているはずだ。

「いや、機器が使えないことじゃなくて、ネットの中で当たり前になっていることを知らなかったり、知らずに行動しちゃったりすることを、『お前、情弱だな』と揶揄するんだそうです」

   たとえば、ネットに書き込まれている「就職先ワーストランキング」を知らずに就活し、ワースト上位の会社に内定が決まった人がいると、その人は「情弱」とバカにされ、本人も非常にショックを受けたり、内定を蹴るべきかと悩んだりするという。

   A部長はムッとして、「おい、それって情けなくないか? 単にネットの噂に振り回されているだけなんじゃないの」と追及すると、B課長から、

「そんなことボクに言われても困りますよ。それより、我が社が就活人気ワーストランキングの10何位かに入っていること、知らないでしょう?」

と逆に質問されたという。「この間、就活掲示板を見てたんですが、部長、うちの会社は学生から何と言われているか知ってますか? オワコンですよ、オワコン…」

「入社してはいけない」と書かれているとも知らず

   「オワコン」とは、終わったコンテンツの略で、ブームが終わったゲームやアニメのことを指していたが、転じて「時代遅れのもの」という意味でも使われている。

   就活掲示板で「この会社、オワコンだろ」と書かれていたということは、この会社はもう時代遅れだから入社してはいけない、とその学生から思われていたということだ。

   「そりゃまいったなあ。人事や広報は知ってるのか?」とA部長が聞くと、B課長は

「見てるのかもしれませんが、ジョージャクやオワコンの意味は理解してないのかも。私も最近、部下から『課長、ジョージャクっすね』と言われながら教わったばかりですから」

と笑っていたという。

   それでもA部長は、いまひとつ腑に落ちないところもある。噂に詳しいことよりも、不確かな情報に振り回されず、簡単に信じない態度の方が「情報強者」なのではないか、と。

「情弱と呼ばれることにすごく敏感だってことは、それだけ周りの空気を読んでるというか、追い詰められてる感じがするね。ネットの噂が信じるに値するものになっているのか、それとも他人の目を気にする小心者が増えたのか…」
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