首都圏の会社員800人に、仕事を上手に進めるために「身につけたい力」を尋ねたところ、相手と分かり合うために自分が考えていることを「伝える力」が1位にあがっている。2位は相手の気持ちや場の空気などを「読む力」、3位は「発想力」だった。
「伝える力」をあげたのは、回答者の57.9%(複数回答)だが、20代では67.0%。30~50代の55%前後と比べると、20代の関心が突出して高いことが分かる。
年長者の半数「自分の若いころよりもレベル低い」
アンケートは、電通「広告小学校」事務局が2011年4月2日~4日に実施。回答者の「伝える力」を、今までに接したことのある一番上手な人を100点として自己採点してもらったところ、50代の平均点は平均60.2点。これに対し20代は50.7点と、10ポイントも低かった。
また、30代以上の回答者に、「いまの20代前半の若者は、自分が同じくらいの年代のときと比べて、伝える力が高いか低いか」と尋ねたところ、「低くなっている」と答えた人が52.5%と半数を超えている。
いまの20代の「伝える力」は、自己評価も低く、年長者からもネガティブに捉えられているようだ。回答者からは、
「伝わらないのは相手のせいだと思う人が増えているように思う」
「意見や考えを思っていても口に出して言わない」
「メールで意見を伝えてくることが多い」
と若者のコミュニケーションに違和感を訴えるコメントが相次いでいる。
一方で、「就職氷河期を経験していることもあり優秀」「考えもしっかりしている」「ものおじしない」「自分の考えをはっきり言える人が多くなった」と擁護する人もいたが、全体の2割程度で少数派にとどまった。
「伝える力」が高い有名人に島田紳介も
ある20代後半の会社員は、仕事をする経験が浅く、自分のスキルが磨かれていないことを認めつつ、「伝わらないのは相手が悪い、分からないやつが悪いと思っている人は、若者を生意気呼ばわりする年配者の方が明らかに多い」と不満顔だ。
「50代ともなれば、人間関係がだいたい構築できてくるから、仕事相手とも意思疎通がしやすいのでは。個人差が大きいけど、ソーシャルメディアなどを使って伝える力がすごいな、と思う人は若い世代の方が多い」
と、批判に対して冷めた見方をする。
なお調査では、「伝える力」が高い有名人の1位は、池上彰氏がダントツ。次いで島田紳介氏、北野武氏、小泉純一郎氏、枝野幸男氏が続いた。あがった理由は、
「難しいことでも分かりやすく説明する」(池上氏)
「アピール力が強い」「言うことが深く、説得力がある」(島田氏)
「毒舌であるが、本質を鋭く突いてくる」「ユーモアがある」(北野氏)
など。同じ「伝える力」にも、さまざまな要素がありそうだ。