年度末の送別会や打ち上げで「稼ぎ時」を迎えるはずだった飲食店にとって、震災は大きな影響となったようです。宴会の自粛や節電、物資不足などが重なり、売り上げが減っているところが少なくないと聞きます。
このことは単に飲食店の経営だけでなく、農家や食料品店、輸入業者や酒屋など関連する業種にも深刻な影響を与えます。首都圏の雇用、ひいては被災地を支える日本経済全体へ影響を与え、被災地復興も遅れてしまうのでは、という危機感も覚えます。
現場に足を運び「何ができるか考える」
近所のスーパーが閉店時間を繰り上げていることもあって、私自身は震災後に外食をよくするようになりました。週3、4日は外食になりエンゲル係数が上昇中ですが、当面は割りきって続けることにしています。
計画停電で、自宅で料理ができない人もいたことでしょう。電力不足は少なくとも夏まで続くようですが、これからは就業時間の繰り上げや短縮、自宅勤務やサテライトオフィスなど、日々の働き方に工夫が必要になると思います。
グルメ情報サイトを運営する「ぐるなび」では、震災後に急きょ毎週水曜日を午後6時の定時退社としたそうです。いわゆるノー残業デーですが、新しく「飲食店応援カード」を作って従業員に配り、外食を奨励しています。
会社の性格もあって、社員には元々外食好きの人が多いとか。「応援カード」の裏に手書きのメッセージを書いて店員に渡したり、飲食をしながら社員で「どうやったら外食を盛り上げられるか」と話しあっています。
訪問先は会員店とは限りません。このご時勢に自分たちがどう貢献できるのか、頑張る飲食店の取り組みをどういう切り口で紹介するかを考える上で、やはり現場に足を運ぶことは大事なのだと思います。
現在、ぐるなびのサイトでは「節電営業中のお店」をまとめ、売り上げの一部を被災地に提供している「被災地応援店」を紹介しています。これからも興味深い切り口での飲食店情報の提供を期待しています。
売り上げを被災地支援にあてるお店も
お店側も被災者をサポートしつつ、お客さんを楽しませる企画をしています。
東京・経堂のタイ料理店「sala SONTANA(サーラ ソンタナ)」は、買い占め騒動のときに、トイレットペーパー1巻きでビール1本を無料で飲ませてくれるサービスをしていました。ユーモアがあっていいですよね。
火鍋チェーンの「小肥羊(しゃおふぇいやん)」は、割安な食事券を販売して、売り上げの全額を被災地支援にあてるのだそうです。売り上げや利益を削っても支援に回そうとする姿勢に感動します。
会社ウォッチの記事で臨床心理士の尾崎健一さんは、メディアの強い刺激を受け続けているとウツや興奮状態になると指摘していますが、オススメの対策のひとつに、
「心許せる人とゆっくり過ごしたり、会話をしながら食事をすること」
という方法があがっていました。確かに飲食店に行くと、美味しいものを食べながらリラックスしている人たちの顔が見られます。
東京バーゲンマニアでは、そんな風に世の中を明るくしようとする飲食店の取り組みを、これからも紹介していきます。