PRが行き届いてきたせいか、電車内や店内などでケータイの通話をする人もめっきり減ってきました。
それでも、まだ時々、話している人を見かけます。
ワケの分からない独り言は不気味
車内や店内での通話は何も法律で禁止されているわけではなく、「お控えください」といった「要請」、あるいは電車の運行、店舗の運営を行う会社が定めた「ルール」として「止めてくれ」と言われているだけです。
ですから、絶対に通話をしてはいけない、ということではありません。
「でも、電車や店舗にいる時、自分の隣や近くで通話されると、無性に腹が立つよね。あれ、何でなんだろうね?」
30代の会社員、Aさんが言いました。
同僚のOL、B子さんは「マナー違反にムカつく、ってことでしょう?」と答えたのですが、Aさんは「そういう理屈的なことじゃなくて、なんだよね」と反論します。
そう言われて、筆者も考えてみました。
図書館ならともかく、車内も店内も決して静かな場所というわけでもありません。むしろ、店内などはウルサいぐらいのことのほうが多い。
静寂や落ち着きを乱されるからムカつく、というわけではないのです。
マナーはいったん置くとしても、確かに生理的に気分が悪いのはなぜなのか?
Aさん、B子さんと一緒にしばらく考えた後、ハタと気づいたのが、通話は会話としては周囲に聞こえない、という事実。
通話している本人は会話をしているのですが、周囲に聞こえるのは通話している人物が話している声だけで、通話相手の声はほとんど、またはまったく聞こえてきません。
つまり、一人でワケの分からないことを喋っているのを聞かされているのと変わらない、ということになります。
会話であってもムカつくことはある
これが通話をしていない周囲の人々を不安にさせる、もっと言えば、自分の身体や生命に危険を及ぼす可能性のある人物が近くにいる、という不安を周囲の人は感じるのではないか。
筆者の説明に、Aさんは「なるほど、確かにそういうことかという気もするけど、何かもう少し別のムカつきという感じなんだよなあ」と、納得のいかない様子。
「だって、フツーの会話でも『くだらねーことを大声で喋りやがって』的にアタマに来ることもありますしね。でも、会話というやり取りが成立していない、一方だけのセリフを聞かされていると思えば、それはそれでイライラしてくるってのもわかる気がする」
とB子さん。
いずれにせよ、マナーというのを置いておくとしても、車内や店内での通話は、多くの人の気分を害するようです。
よほど緊急の時以外は、やはり控えたほうがいいようですね。
井上トシユキ