「はじめのころは、洋服の通販は難しいと言われ続けました」
2010年11月にヤフーとの業務提携を発表する記者会見で、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイ前澤代表が漏らした一言が印象的でした。実物を見ることも触ることもできないのに、高いお金を出して洋服を買うなんて、確かに10年前では考えられませんでした。
服がそうなら、靴はもっとハードルが高い! 服なら多少我慢できても、靴ずれして歩けなかったら、もう履くことができません。ところが最近、靴専門の通販サイトが増えているのです。
わがままに応えてくれる「絞り込み機能」
映画「Sex and the City」の主人公、キャリーの靴好きの影響もあるかもしれません。楽天市場にもYahoo!ショッピングにも靴専門店がありますし、今年に入って「ロコンド」という巨大な靴専門サイトも誕生しました。
今のところ私が一番優秀だと思うのは、アマゾンジャパンが運営する「Javari.jp(ジャバリ)」です。靴とバッグ合わせて900ブランド、1万スタイルを超えるアイテムをそろえる国内最大級のサイトです。
ポイントは、(1)細かい絞り込み機能、(2)充実した商品情報、(3)送料無料&365日返品可の3点。特に絞り込み機能は、とても便利。気にいらない靴を見続けるのはうんざりですから、膨大なアイテムから好みの靴を発見しやすい機能は不可欠です。
私も実際に購入してみました。春らしいピンクのパンプスを探して、「レディース」「パンプス」「24」「24.5」と「ピンク色」のボタンをクリック。ブランド指定やヒールの形や高さ、つま先の形、ストラップ、生産国、価格帯も指定できます。
多くの通販サイトが「5000~9999円」と広い価格帯で区切るところ、ジャバリは最安値から最高値まで1円単位で検索できます。この記事を書いているときは998円から18万9263円までの幅がありました。
絞り込む要素を複数選べるのも便利。靴のサイズは、同じ「24」でもブランドによって微妙に異なります。24センチの一覧を見て、また戻って24.5センチの一覧を見なければならないサイトって、結構多いんですよね。
他人の目を気にせず時間をかけて品定め
さて、ピンクのパンプスの一覧が出ると、気に入った商品を選んで詳細ページへ。7方向から撮影した写真をズームして、つま先やかかとの縫い目から靴裏のギザギザの溝まで、じっくりと品定めできます。お店でこんなにじっくり見られる人は、強心臓の持ち主でしょう。私にはできません。
さらに、「商品情報」欄のコメントは要チェック。これは「シンデレラ」と呼ばれるシューフィッターの感想で、一般のクチコミとは少し違います。
アマゾン広報によると、入荷状況にもよりますが、毎日100~200足の靴を1~3人のシンデレラが履いては、
「フィット感がある」「ゆったりした履き心地」
などと記録する作業を繰り返しているとか。シンデレラは、米アマゾンが運営する類似サイト「endless(エンドレス)」にもいますが、ジャバリでは日本人女性の平均サイズである23センチの足の持ち主がシンデレラを務めています。
さて、世界中の靴を履きまくるシンデレラのコメントを参考にすれば安心かといえば、そうではありません。私の足は平均的ではないはず。じっくり試さないで靴を買うと、すぐに靴ずれするんです。
最後に背中を押してくれるのは、送料無料で365日以内であれば返品できるサービス。2011年3月3日から、返品期間が30日間から大幅延長されました。通販で必ず見る「返品の際の送料はご負担ください」の文字が見当たらないのも驚きです。
着払いに設定すれば、ジャバリが負担してくれるんです。巨大企業アマゾンだからできること。通販業界に衝撃が走ったのは間違いありませんし、一般の消費者としてはありがたいことです。
靴パーティー、旅先でのお取り寄せもできちゃう!
こんなにサービスが充実しているなら、ぜんぶ返品する覚悟で利用しようと思い立ち、友人と「フィッティング(靴の試し履き)パーティー」を開くことにしました。思いつくまま、どんどんクリックしてカートへ。
セールで最終価格になっているブーツも追加して、全部で10足24万円。注文確定ボタンを押す手がさすがに震え、1足減らして16万円。それでも私にとっては大きな買い物。とても緊張しましたが、家に届いた箱の山を見たときのあの満足感といったらありません。
自分の部屋なら店員の目を気にしないでリラックスして試せるし、届いたダンボールの中には、1番上に返品の注意点と手順が書かれた「返品ガイド」が入っていて、履いたら必ず買わなければいけないという気持ちも薄らぎます。
ちなみに、返品には条件があるのでご注意を。1度でも外で履いたり、箱を破ったりするとアウトです。
書籍などを販売する「Amazon.co.jp」と同じで、ジャバリも午後4時までに注文した商品は一部地域を除けば国内どこでも翌日届きます。
出先で突然ヒールが壊れたりしたときには、届け先を自宅以外にも指定することもできるので、結婚式や取材で地方へ行ったときにも使えそうです。