最も好感が持てて魅力的な社長は、トヨタ自動車の豊田章男氏――。全国のビジネスマンや就活生1万1824人を対象にブランド総合研究所が実施したアンケートで、そんな結果が出た。
有力企業の社長500人を、4つの視点で評価。豊田氏が1位を獲得した「好感」「魅力」のほかには、ソフトバンク社長の孫正義氏が「能力」、花畑牧場社長の田中義剛氏が「認知」指数で1位となった。豊田氏は、総合ランキングでも孫氏に次いで2位を獲得した。
「能力」トップの孫氏、「魅力」では6位
「この社長の下で働きたい」という「魅力」指数で上位となったのは、豊田氏のほか、スズキの鈴木修氏と、サントリーHDの佐治信忠氏。共通するのは「堅実である」という評価が高かったことだ。
一方、「革新的」「先見性がある」「発想が豊か」などの評価が高く、「能力」指数の高かった孫氏は、「魅力」では6位。同じく「能力」で2位、3位となった日産自動車のカルロス・ゴーン氏、楽天の三木谷浩史氏も、「魅力」の上位には入れなかった。
いくら経営者として有能であっても、自分がその下で働くのはキツイから勘弁してもらいたい、堅実経営をする社長の方がいい、という人が多い傾向が現れている。
豊田氏はクルマ好きで有名。社長就任前からペンネームを使って「ドライバーモリゾウのBLOG」に、自らドライバーとして参加するレースの様子などを書いている。ブログのプロフィールには社長の肩書きはなく、「自動車会社に勤めるドライバー」のままだ。
ブログは現在も更新中で、2011年1月18日のエントリーでは、ジャーナリストからトヨタ車のデザインが保守的だと指摘され、「クルマはカッコいい方がいいですよね」「もっとカッコいいクルマをつくりたい」と答えている。
世界的な自動車メーカーの社長という以前に、大のクルマ好きでモータースポーツ好き。米国での「トヨタ叩き」の際には現場におもむき、全米ディーラー代表の励ましの言葉に涙ぐむ姿が放送された。
「若者のクルマ離れ」が言われて久しいが、自社の製品に愛着を持ち、よりよいものをユーザーに提供したいという誠実な姿勢が「この社長には好感が持てる」「この人の下で働きたい」と思わせているのだろう。