スマホ人気の裏で「昔のシンプルなケータイ」が欲しい人もいる

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「ねえ、昔のケータイって、どこかで買える?」

   ある日、アラウンド・フィフティの会社経営者に訊ねられました。彼は移動が多く、オフィスなどにいることが稀な人です。たまに一カ所にいると、会議中や講演中だったりします。

   以下、その時の会話の様子です。

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ツイッターやらない。ショートメールとワンセグがあればいい

最近のケータイは便利すぎるという人もいる
最近のケータイは便利すぎるという人もいる

私「昔のケータイって、廃盤とかの古いモデルってことですか?」
彼「そうそう。古くて、操作の簡単なヤツ」
私「操作の簡単なモデルなら、高齢者向けのがショップにもあるでしょう?」
彼「いやいや、年寄り向けの、あんまりダサイのは嫌だ。ちょっとはカッコイイ、それっぽいケータイがいいの」
私「でも、あんまり古いと、ウェブサイトが見れなかったり、SNSとかツイッターとかのソーシャルメディアが利用できなかったり、それなりに不便だと思いますけど」
彼「うーんとね、通話が問題なくできて、ショートメールの送受信ができて、たまにワンセグが見れれば、それでいい」
私「調べものでサイト見たりは…」
彼「しない。必要な時は、秘書が検索したりして、タブレットPCかノートPCかなんでもいいんだけど、なんかその時に彼が持ってるもので見せてくれる」
私「会議や講演の資料…」
彼「秘書が持ってる。添付ファイルで送られてきたものは、秘書があらかじめプリントして持ってくる」
私「ウェブメールも?」
彼「秘書がチェックしてるから。必要なものは彼がピックアップして見せてくるし、緊急の用件は電話するよう言ってあって、メールでは絶対に連絡させない。だいたい、会社に残ってる別の秘書が僕のスケジュールは把握してるから、飛行機に乗ってるとか、会議中とか打ち合わせ中とか、こっちにくる以前に答えられるようにはなってるのよ」
私「ブログやツイッターは…」
彼「やんない。たとえやるとなっても、秘書に書かせてアップさせるから。僕自身は操作しないから」
私「そーなると…」
彼「だから、ちょっと古いのでも、ぜんぜん構わないんだよ。スマートフォンなんて、ぜんぜん要らないの」

ネットオークションの「白ロム」って大丈夫?

私「うーん、ケータイショップの中の人が聞いたら、さぞやガックリくるでしょうねぇ。古いモデルって、アキバとかのショップにもありますけど、アキバに行く時間はありませんよね?」
彼「うーん、つくっちゃえば、なくはないんだろうけど、いつになるかわからないなぁ」
私「じゃあ、ネットショップとかネットオークションにもありますよ」
彼「ああ、オークションにもあるんだ?」
私「ありますね。僕も欲しかったけど、買い換え時期じゃなくて見逃した限定モデルを買ったこと、ありますよ」
彼「(同行しているらしい秘書に)おい、ネットオークションにアクセスして」
私「家電とかのカテゴリのなかに、携帯電話の本体って、あるでしょ」
彼「あったあった。うわー、いっぱいあるね。『白ロム』ってのは…」
私「要は、契約されてなくて、いまは誰も使ってないよ、ってことです。とはいえ、いったん誰かが使ってたヤツのなかには、機能的に具合が悪いってのもあるでしょうし、外装に傷があるとかってのもあるでしょうから、そのへんは説明をよく見ていただいて。あと、通信会社によって、別途、手続きが必要ってところもありますから」
彼「わかった。これで詐欺とかって…」
私「まあ、よほどのプレミアがついているモデル以外、特に高額商品ってことでもないですし、スマホが主流になりつつありますから、いまさらガラケーで高騰するってのもないでしょうよ」
彼「僕みたいに、ガラケーの昔のモデルへ退行するなんて、珍しいのかね?」
私「どうでしょう、もはや、あんまりいないとは思いますけど」
彼「まあいいや、秘書に良さそうなのをいくつか選ばせておくよ」


   前回の主婦兼タレントさんは、モバイルの流行の前へ前へ行って、快適な日常生活をゲット。今回の経営者は、逆にちょっと後ろに行くほうが、より快適度が高くなる。

   人々がケータイやスマホに求める「快適さ」「利便性」も、画一的ではなくなってきているんですね。

井上トシユキ


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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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