労働政策研究・研修機構の調査によると、ビジネスパーソンに「所定労働時間を超えて働く理由」、つまり残業する理由を尋ねたところ、非管理職の62.5%が「仕事量が多いから」と答えている。しかし、別の質問項目を見ると、本当に仕事量の問題なのか、首を傾げたくなる結果も出ている。
「上司が退社するまで帰宅しない」強制なのか
調査には民間企業の管理職、非管理職8761人が回答。平均労働時間を「上司の性質」別に見ると、非管理職で最も長かったのは「上司がつきあい残業をさせるか」という問いに「当てはまる」と答えた人たち。月間で213.5時間にのぼる。
一方、上司が「つき合い残業」をさせないと答えた人たちの平均労働時間は、177.5時間。上司の性質によって、月に36時間もの差がついていることになる。「つきあい残業をさせる」とは、上司から
「お前はオレが帰るまで帰ってはいけない」
という具体的な指示があるということだろうか。
一方で、平均労働時間を自分自身の「仕事に対する意識」別に見ると、最も長かった非管理職は、「上司が退社するまで帰宅しない」と答えた人たちの207.9時間。
なぜ「上司の退社」を待っているのか。「仕事に対する意識」ということであれば、強制ではなく自分の意思で行っていることになる。仕事や組織に対する気構えの問題なのか、それとも上司へのアピールなのか。
もしも仕事の進捗状況に関係なく職場に残っているために、労働時間が長くなっているのであれば、決して生産的な状態とはいえないだろう。
単なる「つき合い」で残っているのなら、仕事は進んでいないのだから「残業代を支払え」と主張しても説得力も生まれない。まずは仕事の効率を高め、「つき合い」の悪癖を断たなければ、「サービス残業」も根絶できないのではないか。