内閣府が公開している「一日前プロジェクト」のサイトが役に立つと話題だ。地震や水害などの災害の被害に遭った人に対し、「もし災害の一日前に戻れるとしたら、あなたは何をしますか」と質問したインタビュー結果をまとめている。
連絡網の確認や家具の耐震策は必須
記事の中には、万一の際に備えて職場で参考にしておきたいエピソードも多い。
福岡県西方沖地震(平成17年3月)の被害にあった40代の女性は、青年会議所のメンバーやその家族の無事を確認したいと考えた。
しかし300人全員への連絡は困難を極め、いざというときのために情報を一斉に配信する手段を講じておけばよかったと痛切に感じたという。
「地震のあと、さっそくメーリングリストの導入を検討しました。何といっても災害時は情報共有が一番ですからね」
全社的な携帯電話の連絡網を作っておくべきだった、と振り返る男性もいた。
家具の耐震策を講じておけばよかったという声も多い。宮城県北部地震(平成15年7月)の被害に遭った60代女性は、地震の後に寝室から居間に出ようかと思ったが、台所の家具が全部倒れてドアが開かなかった。その状態のまま火災が発生したら大変なところだった。
「転倒防止器具をつけていた家具だけは倒れなかったので、やっぱり全部にやっておけばよかったなと思いました」
食器棚だけは観音扉を太目のゴムで止めていたため、大きな被害になかったという70代の女性もいる。
ただ、棚を壁に固定していたら、壁ごと倒れてしまったという会社も。どこまで対策を講じておけばよいのか、コストとの兼ね合いもあり悩ましいところだ。
新潟県中越沖地震(平成19年7月)の当日、休日出勤をしていた40代の男性は、地震を感じたものの「そこまで大きくならないだろう」とそのまま椅子に座っていたが、どんどん揺れが大きくなり、机にしがみついてしまった。
「いま思えば、落下物から身を守るためにも、すぐに机の下にもぐらないといけなかったですね」
天災は忘れたころにやってくる。仕事が忙しいと防災の備えをする余裕もなくなるが、少なくとも自分の席に倒れてきたり落ちてきたりするものがないか、見回してみることは必要だろう。