日興アイ・アールが全上場企業を対象に実施した「2010年度ホームページ充実度ランキング」で、東芝が3年連続で総合ランキング1位を獲得した。東芝は、「分かりやすさ」と「情報の多さ」でトップだったものの、「使いやすさ」では同率4位にとどまった。
ところがネットユーザーからは、東芝の「使いやすさ」を評価する声が相次いでいる。評価の視点は「軽さ」だ。特にトップページは、同業メーカーよりも反応が速いと評判が良い。
欧米では約5年前からトレンドに
東芝のトップページは、「星の王子さま」のイラストはあるものの、派手に動く絵はなく、凝ったデザインという印象は受けない。しかし、シンプルに構成されていて、第2階層以降の「知りたい情報」にたどりつきやすくなっている。
国内外の企業ウェブサイトに詳しいクロスメディア・コミュニケーションズの雨宮和弘氏によると、欧米では5年ほど前から企業のホームページをシンプルに軽く構成することがトレンドになっているという。
世界最大の複合企業体であるゼネラル・エレクトリック(GE)のトップページは、自社の強みをアピールするメッセージのほかは、各情報への目次としての機能を徹底。経営方針や製品カテゴリーなどへの誘導路が整然と並んでいるのが印象的だ。
世界最大級の化学メーカーであるダウ・ケミカルのトップページも、同様にシンプルだ。GEとともに、東芝よりも「軽い」印象すら受ける。
これらと比べると、日本企業のウェブサイトの中には、フラッシュ動画が使われていて反応が遅かったり、説明が長々と書かれていてゴチャゴチャした印象を受けたりするものも少なくない。
これでも「社内の部門間の勢力争い」を反映したような数年前のトップページよりも、だいぶ改善されているのだそうだ。
「本当に利用者のためを考えた」サイトへ
「軽量化」の動きについて雨宮氏は、検索エンジンの発達が影響していると指摘する。
利用者のほとんどは「東芝+ノートブック」のように、クロス検索をして知りたい情報に直接アクセスしているので、各カテゴリーの説明を充実させる傾向にある。
それに対してトップページは、会社そのものについて知りたいユーザーがアクセスするので、会社全体の経営メッセージを表現しつつ、製品ジャンルや採用、IR情報などへ分かりやすく誘導するインデックスの役割が求められているわけだ。
東芝のトップページでも「星の王子さま」とともに、「東芝グループの環境経営」へのリンクが表示されている。
「業種によってウェブサイトの利用者は異なるので、すべての会社がGEのマネをする必要はありません。しかし社内の事情ではなく、本当に利用者のためを考えたウェブサイトへと見直しが必要な会社は、日本企業では少なくないと思います」