「電話代わって」 どうしても耐えられない理由

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   不潔なのはイヤ。潔癖性の人でなくとも、多くの人はそう思っているかもしれません。都内の大学生A子さんは、フツーの人よりも少しだけ潔癖なのでしょう。

「友達と一緒にいてケータイで通話しているとき、電話代わってと言われること、結構あるじゃないですか。私、それができないんです…」

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でも頼まれてしまうと断るのは難しい

   通話している最中に、ケータイの液晶画面に着く皮脂や汗が、どうしても我慢できないのです。とくに他人の電話を借りなければならないときには、抵抗感が増します。

「脂や汗が着いているままの液晶画面を、自分の耳に付けるというのができません。家族や付き合っている男性でも、何とかがんばって決心して大丈夫って感じなのに、ましてや他人となると、さすがに無理って…」

   除菌クリーナーなどでさりげなく画面を拭きたいところですが、感じの悪さは否めません。

   そもそも、通話中に「代わって」となるようなシチュエーションでは、よけいな時間はかけにくいものです。

   逆に、自分の電話を他人に貸さざるをえなくなることもあります。

「しかも、『代わって』ってリクエストされるのは、だいたい通話相手から。側にいる友達や知人にも相手の声が聞こえているかもしれないので、代わるのは嫌だとも言えないし。おかしなことだと思うでしょうけど、自分でもどうしようもないんですよね…」

   とりあえず、通話を代わり、がまんにがまんを重ねて、友達などと別れてからケータイを除菌クリーナーなどでキレイにするのだとか。

   以前、このコーナーで、皮脂が着いたスマートフォンを見せられてゾッとしてしまう女性の話を取り上げました。

   今回のA子さん自身の気持ちもわからなくありません。

   イヤフォンマイクを使うにしても、イヤフォンのほうで同じことになるのでしょう。

「できるだけ、メール主体でやり取りするしかないのかもね」

   当たり前のつまらないアドバイスではありますが、それぐらいしか言えない自分がいました。

井上トシユキ


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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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