給料が上がらず、やりがいもない会社から人が流出するのは当たり前

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   以前ストライキについて書いた日テレだが、看板アナである羽鳥アナや夏目アナが退社するそうだ。人件費の見直しを昇給抑制のみで帳尻合わそうなんてすれば、できる奴から流出するのは当たり前である。

   そういった流れの結果だろうか、面白いことに、最近はNHKの中途採用に民放からの応募が増えていると聞く。別にNHKバンザイする気はないが、民放のレベルが低すぎてNHKが輝いて見えるのは事実だ。

   従来、NHKは民放より報酬は一段低かったのだが、同じ水準に下がるのなら、よりやりがいのある仕事を選びたいというのがテレビマンの本音なのだろう。

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バカに受けることだけが正しいのか

   僕自身、呼ばれれば出るけれども、自分で民放をみることはほとんどない。民放ってあまりにもバカバカしい番組が多くて、時間の無駄だからだ。

   まあスポーツ中継と映画、たまにニュースを見るくらいか。周囲の20~30代との会話で困ることもないから、そういう人は少なくないと思われる。

   なんて書くと、なんだかインテリぶってる奴に見えるかもしれないが、これは僕一人が言ってるわけではなくて、作り手であるテレビ局自身も「うちのメインの客層はバカだ」と自覚しているのだから仕方がない。

   たとえば、いつか某局の討論番組で、ちょこっとだけ社会保障の話をしたら、CM時に「ちょっとつまんなかったですね」なんてアナウンサーにダメ出しされてしまった。

   要は、もっと視聴者受けする話をしろということらしい。

   でも、本当に「受ける話=正しい話」なのだろうか。

   事故でも戦争でも伝染病でもなく、日本では年3万人が自殺する。実際には“心不全”の中にも相当数含まれているだろうから、この数字はかなり控えめだと思う。何かしらシステムに問題があって、社会の活力が失われているのは間違いない。

   でも、普通の人は、なかなかその現実に気付かない。気付いたとしても、その構造まではわからないはず。それを教えるのがメディアの存在意義だと思っていたのだけど、

「バカにバカやってみせて、バカ受けしてればいい」

って言うんなら、少なくとも民放の番組っていうのは、その程度のものなんだろう。

   というわけで、能力や志のある若手テレビマンは、もっと有意義な仕事を見つけた方がいい。一度きりの人生、人様に蔑まれ笑われるモノを作り続けていたって仕方ないからね。

   ついでに民放にも一言アドバイスしておくと、最初から自分たちのメインの客層に近い人材を採ればいいんじゃないかな。お笑い番組や携帯ゲームが大好きで、ニュースやノンフィクションなんて見たことないって学生を採ればいい。きっと、メイン客層の喜ぶ魅力的なコンテンツを提案してくれることだろう。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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