ビジネスには人間関係が重要。久しぶりに会った人に、「○○さん、ご無沙汰しています」と即座に呼びかけることができれば、仕事を広げていくことが容易になるかもしれない。しかし現実には、他人の顔と名前を一致させることが苦手な人は多い。
相手を傷つけずに聞き出せる
情報共有サイトのナナピには、「うっかり名前が出てこない人から失礼のないように名前を聞く方法」が掲載されている。
その方法とは、相手に「お名前ってどんな漢字でしたっけ?」と聞き、名字を答えたら、
「あっ、いやぁ名字じゃなくて下の名前です。漢字でどう書くのかなと思って」
と答えるのだそうだ。
このやり方だと、相手は「なんだ!そっちか~」と、尋ねた人が名前を忘れていたとは気づかないという。
これと同じような方法を故田中角栄氏が使っていたことを、脳科学者の茂木健一郎氏がツイッターで紹介している。大蔵大臣に就任したとき、大臣室に来た官僚たち一人ひとりの名前をフルネームで呼んで、相手を感激させた角栄氏。
そんな彼でも名前を忘れることがあり、握手をしながら「君の名前はなんだっけ?」「名字はわかっているよ。下の名前はなんだっけ?」と、相手を傷つけずに聞き出していたそうだ。
「顔写真入り名刺」が普及しにくい理由
誰もが名前と顔を一致しやすくする方法はないものか。平均して月に10枚以上名刺を受け取るという営業職500人に、キングジムが「印象に残る名刺の特徴」を尋ねたところ、「顔写真入り」という回答が約半数でトップだったという。
デジタル技術も発達し、名刺に顔写真を入れることはコスト的にも難しいことではない。誰もがそんな名刺を持って入れば、いろいろ悩まなくて済むようになるのではないか。
都内に勤務する20代女性に聞くと、そう簡単なものではないらしい。
「まず、どの写真を選ぶかが難しいです。スナップ写真ではカジュアルすぎるし、写真映えするように化粧や照明を工夫しても、実際にあった日の印象と違いすぎると、かえって違和感ありますし。悪気はないのに『これサギじゃん』みたいな」
髪型やファッションを変えることもあるし、体調や加齢による変化も生じる。「ツイッターで知り合った人に、実際会ってみたら『写真やせすぎ』みたいな人、結構いますよ」
結局、記憶が新鮮なうちに、名刺に特徴をメモしたり、相手の似顔絵を描いたりするなどの古典的な自衛策を打つしかなさそうだ。