先日、某社のPCがおかしくなったので、サポートセンターのチャットのお世話になった際の話。実に効率的にマニュアル化された手続きですぐに診断と回収手続きが終わり、半年でぶっ壊れたPCに対する怒りも綺麗に消えうせた。
ちなみに、窓口となってくれた担当者は中国人のお姉さんで、修理したPCを配達してくれたのはインド人のコンビだった。以前、国内のサポートセンターの移転に関わったことがある身としては、実に感慨深い。
「中国人と競争したくない」と泣いてもムダ
正社員+契約社員で、平均すると1人700万円以上の人件費コストが計上されていたはずだが、大連あたりのコールセンターならその5分の1以下で済むだろう(インド人カスタマーエンジニアの人件費は知らないけど)。
もちろん、それで浮いたコストは価格に反映される。そうした諸々のコストダウンにより、我々は10万円前後でPCを手にできるようになったわけだ。
このように、グローバル化は、すべての人にとってメリットがある。
ただ、サポートセンターのように、海外との競争で対価が激減してしまう職があるのも事実だ。パソコンのように国際競争の激しい製品開発に携わる人たちの給料も抑制されてしまう。
「いやだ、俺は中国人と競争なんてしたくない!」
という人も多いとは思うが、こればっかりはしょうがない。
これまでは社内大会や県大会、せいぜい全国大会レベルで競っていれば良かったのだが、もう世界大会は始まってしまったのだ。これをストップさせる力は、お上にも共産党にもない。
だから、対策としては、個人が頑張って世界大会の中で上位に進出するしかない。国ができるのは、せいぜいそのためのお膳立てくらいだろう。
社内大会の順位は通用しない
ここで若手が留意すべき点は、必ずしも企業内の人事制度がこういった現状に追い付けてはいないという点だ。
付加価値が低くマニュアル化しやすい業務ばかり若手に押し付けたり、数年おきにまったく畑違いの部署をジョブローテーションさせて専門性の蓄積を阻害したりと、終身雇用型の人材育成を続けている企業は今も少なくない。
つまり、物分かりのいい良い子ちゃんでありすぎると、ある日突然ルールが変わって、
「コストパフォーマンスの悪い奴」
というレッテルをはられかねないということだ。
社内大会と世界大会を分けている仕切りはとても薄く、いつ破れてもおかしくない。
なんてことをつらつら考えながら、近所の中華料理店で焼きそばを食べていると、店員の中国人の兄ちゃんが、流暢な英語で外国人客を案内し始めた。世界大会はいたるところで始まっている。
城 繁幸