メルマガ解約したら病院の予約もできなくなるの?

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   保育園に通う子どもを持つA子さん。「私が時間の不規則な仕事をしていて、夫も年に2回ぐらい長期の出張があるんです」

   小さなお子さんは、やれ熱が出た、腫れ物ができたと、なかなか手がかかるのだとか。

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勝手に送られてくる宣伝メール

「最近は、ケータイから予約ができたり、直接クリニックの人に相談できたりして、私たちのような家族にはとても便利で助かっているんです。ところが、一つだけ不満があるんですよ…」

   それは、医院やクリニックのケータイサイトを運営している業者が送ってくる、病気や子どもと直接は関係のない宣伝メールです。

   ほとんど毎日送られてくるのは、健康に良いとか生活の利便性を謳ったメルマガ。

「はじめは、なんだろうと思って開封して見ていたんですが、すぐに私たちには興味のない内容だとわかったので、送られてきても読まずに捨てるようになりました」

   とはいえ、そのうち、いちいち捨てる操作をするのも面倒になってくるのが人情というもの。

   久しぶりに、どうでも良いことしか書かれていないメルマガを開封し、受信解除の方法が記載されていないかどうか、確かめてみたそうです。

   ところが、メルマガの最後の最後に書かれていたのは……。

「このメルマガの受信を解除すると、医院やクリニックへの予約ができなくなる。そういう文言でした。なんだかペテンにかけられたようで、ガーッとくるのではなく、ジワッとくる怒りがお腹の底からこみ上げましたね」

「読まずに捨てろ」というけれど

   A子さんなりに、いろいろ考えてもみたそうです。

「業者に文句を言ったところで『どうぞご自由に』などと言われるのがオチ。かといって、お医者さん側にどうにかしてと言っても、忙しいとかよくわからないといった理由で業者に任せたわけでしょうから、どうにもならないんじゃないか」

   本筋の治療とは関係のないことをガミガミ言ってくるクレーマーと思われて、お医者さんサイドとの関係性がこじれるのも困ります。

   結局のところ、泣き寝入りしかありません。

「まあ、こちらが読まずに捨てる作業を面倒がらなければいいだけのことでもありますし、現実の生活でも一方的にチラシがポストに放り込まれているわけですから。でも、頼んでもいないものを送りつけてくる、一方的にポストに入れていくというのが当たり前というのも、どんな世の中なんだとは思いますよね」

   タダで使える代わりに【未承諾広告】が送られてくるというのは、まだわかりやすかったのでしょう。

   お医者さんと患者さんとのコミュニケーションが便利になって良かった、と無邪気に思っていたら、陰に本筋とはまるで関係のない業者からの宣伝という落とし穴があった…。

   だまし討ちに遭ったと不快になるユーザーがいても、不思議はありません。

   「違法じゃないことは、やったもん勝ち」と、それこそ無邪気にやっていると、そのうち規制でがんじがらめになり、とどのつまりビジネスもコミュニケーションも自由にできなくなる、などと心配するのは、老婆心が過ぎるのでしょうか。

井上トシユキ


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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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